新しいスキーでW杯53勝目の高梨沙羅。「一番勝ちたい」世界選手権へ (3ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Fujita Takao/PHOTO KISHIMOTO

 しかし、そこはさすがの女王・高梨。強風が続いて開催が危ぶまれていた2日目には、その課題を修正してきた。試合前のトライアルで同じゲートからスタートした伊藤やルンビーとのスピード差はほとんど縮められなかったものの、踏み切りではスムーズに立ち、トライアル最長の103mを飛んだ。そして試合の1本目は103mを飛んだルンビーには及ばない2位だったが、助走速度の差を0.6km差まで縮めて99.5mを飛ぶという、修正能力の高さを見せた。

 2本目は1本目4位の伊藤が、秒速1.61mの向かい風の中で、ヒルレコードの111mを飛んでトップに立ち好調さを見せつけた。そのふたりあとの高梨のジャンプは向かい風が0.26mと弱くなり、スタートゲートも2段下がってアプローチスピードが抑えられる条件となる。だがそれでもキッチリと97mまで飛距離を伸ばし、伊藤を1.5点上回ってW杯最多タイの53勝目をあげた。

「2本目は飛距離も97mでしたし、次に1本目1位のルンビー選手がいたので、まさか勝てるとは思っていませんでした。ただ、昨日の課題だったアプローチスピードはずいぶん戻ってきたのでそこは自信になります。昨日のジャンプを見直して、スキーの外側が助走レールの縁を擦っているのに気づいたので、今日は新しいスキーを使ってみました。スキーがレールの縁と擦れていることで1km下がったのかもしれないですし、いろんな人のアドバイスもある中で父とも連絡を取り、フィーリングがよくなければ元に戻すということで新しいスキーを試してみたら、いい感じで飛べたので、そのまま新しいのを使いました」

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