【カーリング】屈辱からの再出発。近江谷杏菜の秘めた覚悟 (4ページ目)

  • 竹田聡一郎●文 text by Takeda Soichiro
  • photo by Tsukida Jun/AFLO SPORT

「(試合では)いちばん最初に投げる私が、どのくらい滑る氷なのか、その状態をできるだけ早く察知して、把握しなければいけない。ただ、今大会では、それがいちばんできなかった。その分、悔しいし、(自分にとって)大きな課題となりました。

 収穫としては、何より世界の舞台で真剣勝負ができたこと。3年後(の五輪)を見据えると、すごく貴重な経験になったと思います。そういう意味では、来年もこの舞台で戦いたい。特に来年からは、オリンピックポイント()もかかわってきます。自分たちも、上のレベルにひとつ、ひとつ上がっていって、世界選手権で結果を残せるようにしたい」
※五輪の出場権は、五輪から逆算して直近2年の世界選手権の成績によって、上位チームに与えられてきた。平昌五輪でも同様の方式が採用される予定で、五輪出場には2016年、2017年の世界選手権の結果が重要になる。

 ソチ五輪で5位、今回の世界選手権で6位。日本(北海道銀行)が、世界の中位にいることは間違いない。だが、スキップの小笠原をはじめ、メンバーの誰もが満足してはいない。

「負けから学ぶことは多い。同じミスをせず、同じ負け方はしたくない。来季以降、しっかりと課題を修正して戻ってきます」

 小笠原のその言葉を受けて、準決勝、決勝が行なわれている会場のスタンドには、世界トップランクのカナダ(準優勝)やスイス(優勝)のショットを注視している近江谷の姿があった。はたして彼女は、世界の頂点との距離をつかむことができたのか。近江谷のアイスリーディングと安定したショットなくして、北海道銀行が、日本が、世界のトップに割って入ることはできない。

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