【大相撲】人気回復の影に、相撲協会女性職員の奮闘あり! (4ページ目)
北の湖理事長は「若い人たちには若い人しか分からない感覚があります。そういう我々が分からない範囲でいいものは、積極的にやってもらっています」と明かす。事業部長の八角親方も「まずアイデアを上げてもらって、いいものはどんどんやっていく姿勢です」と追随する。
聞けば、加藤さんは22歳で飲食関係の仕事を辞めて転職サイトを見て相撲協会に入ったが、それまで相撲はほとんど見たことがなかったそう。それがツイッターで力士と触れ合うようになり、大相撲の素晴らしさ、歴史と伝統の大切さを実感したという。
「まったく相撲に興味がなかった私も実際に触れ合うと、これほど素晴らしいものなのかと日々、感じることがあります」。先入観なくファンの気持ちに近いからこそ。“遠藤にお姫様抱っこ”などの大胆な企画が生まれるのだろう。
また「相撲観戦で、家族みんなが忘れられない思い出を作ってほしい」。そんな思いから横綱、大関に赤ちゃんを抱っこしてもらえる入場券を発案。女性ならではのぬくもりのある企画に、参加者から「涙が出るほど感動しました」との声をもらったことも。「家族の団欒(だんらん)の中で、少しでも相撲が話題に上がれば、こんなにうれしいことはありません」。
莫大な赤字で危機に瀕した大相撲を内側から見ていた加藤さんは「当時、このままだと相撲がなくなってしまうんじゃないかと思っていました。職員として、こんな素晴らしい伝統をなくしていいものかと。何とか次の世代に、この大相撲を今の形で渡して行きたい。そんな思いで日々、頑張っています」と明かす。
八角親方は言う。「国技館の中は江戸時代。昔ながらの雰囲気で一切、演出はしない。他では見られないこの空気が大相撲の最大の長所だと思います。でも、一歩、国技館の外を出たら、いろいろと楽しめるものがある。これが理想の形です」。
いま、親方と職員の思いはガップリ四つに組んで一致。ともにファンサービスに汗を流している。来年の初場所も前売り段階で連日、売り切れが続出している大相撲。あとは、土俵で力士が手に汗握る熱戦を展開するだけだ。
大相撲一月場所は1月11日(日)~25日(日)、両国国技館で行なわれる。
4 / 4