【月刊・白鵬】横綱の心揺さぶる、日本の夏の「風物詩」 (2ページ目)

  • 武田葉月●文 text&photo by Takeda Hazuki

 甲子園では、東北のチームの奮闘にも期待しています。8月初めの夏巡業のあと、その足で、福島県で被災地の方とのふれあいイベントを行なったので、その思いは余計に強いです。

 震災から2年5カ月。被災地に足を運ぶ度に、復興の遅れには心が痛みます。そこで今回、自分自身の命題として「これからも、復興支援をやっていかなければ......」と、心を新たにしました。そうした中で、被災地の代表チームが健闘している姿を見ると、とてもうれしく思いますし、自分もさらにがんばらなければいけないな、と改めて気持ちが引き締まります。

 一方、世界水泳では、萩野公介選手と瀬戸大也選手という、10代のふたりの選手に注目が集まりました。萩野選手は、日本選手では過去に例のない、個人で6種目に参戦。400m自由形、200m個人メドレーで銀メダルを獲得しました。そして、萩野選手が本命視されていた400m個人メドレーで、瀬戸選手が見事に金メダル。同種目では日本勢として史上初の快挙を達成しました。萩野選手と瀬戸選手は、子どもの頃からライバルだったそうですが、お互いに競い合ってきたからこそ、こうした素晴らしい結果に結びついたのでしょうね。

 実は私、水泳がちょっぴり苦手なんです(笑)。力士になって、体重が増えてからはちょっと......。でも、水泳競技を見るのは大好きですから、ふたりの活躍ぶりはしっかりと目に焼きついていますよ。

 それにしても、水泳界の若きふたりの躍進に止まらず、陸上界では高校生の桐生祥秀選手という逸材が登場。プロ野球界では日本ハムの大谷翔平選手や、阪神の藤浪晋太郎選手が躍動しています。近年、各スポーツ界で10代プレイヤーの活躍が目立っていますが、私からすると、そうした光景はちょっとした驚きです。というのも、相撲界では10代の力士がトップレベルで頭角を現すということは、なかなかないからです。

 相撲の場合、18、19歳という年齢は、まだ体を作り上げていく段階で、発展途上の時期です。確かにかつて、貴花田関(のちの横綱・貴乃花=現貴乃花親方)は、17歳2カ月で十両(関取)に昇進し、17歳8カ月で新入幕を果たしました。しかしそれは、本当に異例なことです。

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