【レスリング】生まれ変わった吉田沙保里が『カレリン超え』に挑む (3ページ目)

  • 宮崎俊哉●取材・文 text by Miyazaki Toshiya
  • photo by AFLO

「おばちゃん扱いしないでくださいね。体はピンピンしていますから。レスリングは楽しくて仕方ない。でも、ちょっとでいいから試合のことを考えず、ゆっくりしたいなと思って」

 そんな心身ともに大きく変化した吉田は、休みたいと語るも、9月27日からカナダで行なわれる世界選手権への出場を決めた。理由はもちろん、ロンドンで並んだ『人類最強の男』アレクサンダー・カレリンの持つ『オリンピック3連覇+世界選手権9連覇=12大会連続世界一』の記録を塗り替えるためだ。

「ロンドン前は、そんなこと考える余裕はありませんでした。でも、大記録に挑戦できるのは、自分だけが持つ権利。前人未到の記録が樹立できればみんな喜んでくれるし、応援してくれる人たちの笑顔が見られるから」

 イケイケで挑んだアテネ、絶対の自信を持って臨んだ北京と違い、ロンドンはかなりの不安を抱えての挑戦だった。戦術の変更、そして「日本選手団の旗手は勝てない」というジンクス……。それらを跳ね返した吉田が、世界選手権でどんなレスリングを見せるのか。また、レスリングはもとより、日本のスポーツ界全体を引っ張っていくだろう吉田沙保里が、『カレリン超え』を果たしたのち、どんな行動を取るのかも気になるところだ。


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