【ロンドン便り】想定内?想定外?住民に大不評の五輪期間中の現地交通事情 (3ページ目)

  • 藤井重隆●取材・文 text by Fujii Shigetaka
  • photo by Fujii Shigetaka

 余談ではあるが、ロンドンの交通機関が眠りに就くころ、制限と我慢の時間から解放される選手団がいる。ちょうど五輪期間中にラマダン(=断食)を迎えたイスラム圏の国々の選手たちだ。今年のラマダンは7月20日~8月18日までの約1カ月間、つまり五輪開催期間がすべて重なっている。太陽が出ている日中に飲食が禁止されており、選手たちは日没から日の出までの間に一日分の食事をとるのだ。
 
 五輪に参加している約14000人の選手のうち、約3500人がイスラム教徒であり、彼らは口を揃えて「不運な時期にラマダンを迎えてしまった」と語る。ちなみに、サッカー男子日本代表が1-0で勝利したモロッコ代表選手も断食中だった。

 FWアムラバトは「ラマダンで力が出なかった。国からは食べてもいいと言われたけど、妥協したくない。30日間断食する」と話していた。だが国によっては、マレーシアのように試合の前後だけ免除されてところもあったようだ。

 オリンピックパークの真横にある欧州最大級のショッピングモール「ウェストフィールド」では、日没後の午後9時には、そんな断食中の選手たちが続々と押しかけ、食料を買いあさったり、レストランで2食分のオーダーをする様子が報じられていた。選手のほとんどは、夜9時ごろに夕食をとり、日が昇る直前の早朝4時ごろに朝食を食べて活動するという生活を送っている。

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