高橋大輔「宝石って人を惑わす」切なく、狂おしく『フレンズオンアイス』で表現した不思議な世界

  • 小宮良之●取材・文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

「フレンズオンアイス2024」高橋大輔 編

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【レジェンドのきらめきが炸裂】

 8月29日、KOSE新横浜スケートセンター。世界中から選りすぐりのフィギュアスケーターが集ったアイスショー『フレンズオンアイス2024』のリハーサルが公開された。

 オープニングで高橋大輔は荒川静香、浅田真央と豪華な共演。日本というよりは世界のフィギュアスケートを担ってきた3人の"画力"は強い。その歴史も含めて訴求力があり、何気ない滑りにもレジェンドならではの風情がある。

 なかでも、高橋は肩の力が抜けて軽やかだった。

「3人でひとつのナンバーを滑ったことはなかったので、つくっている時から楽しかったです。とくに大ちゃん(高橋)が頼りになって、一番しっかりしていて、びっくりしました!」

 荒川がそう洩らしていたように、高橋の"調和力"は飛び抜けていた。空間認識力が高く、リズム感も並外れて、何よりスケーティングの基礎が分厚く、完璧な佇まいだった。

 それはシングルからアイスダンスとジャンル(種目)を変更し、世界トップに迫ったこともあるのだろう。このコラボレーションだけでなく、周りとスケーティングを合わせるところで、懐の深さを見せていた。

 滑りの一瞬一瞬に、高橋が長年スケーターとして積み上げてきた軌跡のきらめきがあった。

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著者プロフィール

  • 小宮良之

    小宮良之 (こみやよしゆき)

    スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。

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