本田望結、フィギュアスケートを通して姉・真凜と過ごす時間に涙。「家でもなかなか会えない」 (2ページ目)

  • 小宮良之●取材・文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

"二刀流"の裏側で

 本田は"二刀流"を捨てない。

「フィギュアスケートと女優」

 そのどちらの夢も追いかけている。

 3歳の時にフィギュアスケートを始めたが、役者の仕事に関わるようになったのも、ほぼ同時期だった。女優として、連続ドラマ『家政婦のミタ』(日本テレビ系)などで人気を博し、映画やドラマの主演を勝ち取っている。

 同時にフィギュアスケーターとしても、2016年全日本ノービスで6位入賞後、2017年、2018年に全日本ジュニア出場し、2020年にシニアへ転向した。

この記事に関連する写真を見る 好むと好まざるにかかわらず、彼女は注目を浴びる。東京選手権でも、40人の出場選手の内たった4人のオンライン取材対象になっていた。ただ本人は、単純に好きなことに懸命なのだろう。10代の少女に、「どちらか一本にしろ」と説教する権利は誰にもない。

 おととしのインタビュー、彼女はやりとりのなかで目を潤ませる瞬間があった。

 2019年の西日本選手権ジュニア、本田はあと一歩で全日本ジュニア出場を逃した。ふがいなさか、演技後の表情はタレント然としたにこやかさは消えて険しかったが、囲み取材には競技者としてどこまでも真摯に丁寧に答えていた。そして部屋の隅にあるベンチに座ると、スケート靴をきれいに拭いたあと、大切そうにしまった。

 その光景を振り返り、彼女は当時を思い出したように表情を変化させ、涙声になった。

「自分は感情移入しやすい性格で。皆さん、自分にしかわからないことがあると思うんですよね? 何をやっても、表面上でしか捉えてもらえないことはあって。その人にしたらってこともあるはずで」

 本田はそう言っていたが、感情量が豊富な女性なのだろう。

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