羽生結弦がソチ後に見せた情熱。プログラムを完成させる過程に迫る (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 能登直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

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 そして、勝負の2013ー14シーズン。GPシリーズ2戦目のエリック・ボンパール杯で自己記録をわずかに更新する95.37点を出した羽生は、その後のGPファイナルでパトリック・チャン(カナダ)に塗り替えられていた世界最高得点を1.32点更新する99.84点をマーク。その自信と勢いをそのままぶつけたのが、ソチ五輪だった。

 ソチ五輪SP、最初の4回転トーループはGOE(出来栄え点)満点に迫る2.86点を獲得する完ぺきなジャンプ。チェンジフットシットスピンのみレベル3と取りこぼしたが、自信と余裕がにじみ出る表情のまま滑り切り、国際スケート連盟(ISU)公認大会では初となる100点台に乗せる101.45点でトップに立った。

 2分50秒の中で7つの要素をこなすSPは、ひとつのミスが大きな得点差となって表われ、命取りになる。どの選手も「ミスは許されない」という緊張感を強いられ、逆にミスを呼び込んでしまうこともある。

「ショートに余裕を持つことで、フリーの完成度を高めることに集中できるメリットは大きい」

 羽生はそうした精神状態で臨んでいたシーズンだったからこそ、プレッシャーを強いられる五輪の大舞台でも、自分を信じて力を出し切る演技ができたのだろう。羽生は『パリの散歩道』への強い信頼感を貫き、五輪初制覇への足掛かりを作ったのだ。

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