修正・改善・進歩。紀平梨花は女子フィギュアスケートの革命家だ (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by JMPA/Enomoto Asami

「(ブノワ・)リショー先生の振り付けで、パフォーマンスを入れたい、ということで」

 紀平はその事情を明かしている。

「いろいろな技を提案されたんですけど、全部難しくて。その中では、『これがマシかな』と思ったのが片手側転でした。(練習で)恐る恐るやりましたけど、陸と違って氷の上だと滑ってしまい、最初はコケたり......。でもおかげで、見せ場を作ることができるようになりました」

 片手側転は、フィギュアをまったく知らない人にも"すごさ"が伝わる。その波動はわかりやすく観客に伝わるし、世界を駆け巡る。案の定、メディアは食いつき、ファンも目を離せなかった。

 つまり、紀平は競技者としてスコアを叩き出しながら、フィギュアの人気を広げる一助も買ったのだ。

 彼女は、既存の考え方にとらわれていない。フリーでも154.90点を叩き出し、全日本連覇を決めたわけだが、直後のリモート会見で瞠目(どうもく)すべき場面があった。

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