新女王・紀平梨花が世界を狙うために次に考えていることは何か (3ページ目)

  • 小宮良之●取材・文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

 紀平は言う。

「ただ、朝(の公式練習)は調子が悪かったので。本当にジャンプがすぽっと外れて、パンクが多かったり。とにかく集中って。どのジャンプに対してもこのジャンプだけ、って気持ちで跳んでいました。(緊張から3日間)お昼寝はできなかったけど、(今日は)部屋を真っ暗にして少しは疲れも取れた感じで。睡眠のところも修正はできていたのは、これは収穫で成長につながると思います」

 そう語る新女王は達成感を滲ませながら、すでに次を見ていた。全日本優勝で、(3月の)世界選手権出場が内定。次はグランプリファイナルで敗れたロシア勢との対決になるのだ。

「4回転を入れたい気持ちは強くて、(今回入れられなかった)悔しさはもちろんあります」

 世界を狙う紀平は、4回転を組み込んでくるだろう。そしてもうひとつ使っていない武器がある。高得点が狙える3回転ルッツだ。

「ルッツは(ケガで)跳べていなくて。ただ、ダブル(2回転)からスタートし、毎日1本だったのを、3本くらいやりだしています。(2月の)四大陸(選手権)の頃までに入れられるように回復していたい。電気の治療やアイシングを怠らず、万全の状態で試合に挑めるように。そして、ルッツを入れてもアクセル(の精度)を落とさず、4回転サルコウを入れても、ほか(のジャンプの精度)を落とさずに。何度も練習して、すべてそろえられるようにしたいです」

 紀平は野心的に語った。世界女王を目指して大胆に、細心に――。束の間、全日本制覇の余韻を味わいながら。

3 / 3

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る