2018.12.04

紀平梨花は女王ザギトワに勝てるか。GPファイナル女子展望

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi 能登直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

 技術が高くなればなるほど完璧な演技というのは難しくなるが、もしSPでフリーの単発のトリプルアクセルと同じ加点をもらえるジャンプができれば、転倒の減点はなくなり8点は加点されて、230点台にできる可能性は十分ある。

 五輪女王のザギトワは今季、ネーベルホルン杯でSP、フリーともにノーミスの演技で238.43点という高スコアを記録しており、一歩リードしているのは確かだ。それでも、GPシリーズ・フィンランド大会ではSP最初の3回転ルッツ+3回転ループが3回転+1回転になるミスをしており、フリーでも後半の3回転ルッツ+3回転ループがともに回転不足に。優勝はしたが合計215.29点に止まっている。また、ロステレコム杯では、SPこそノーミスで80.78点を獲得したが、フリーでは後半のジャンプ2本が回転不足になるなど取りこぼしがあり、合計は222.95点だった。

 昨季、ザギトワはフリーのすべてのジャンプを得点が1.1倍になる後半に入れていた。前半はスピンとステップをしっかり滑って、後半は攻めの構成で挑み、安定感もあった。だが今季は、最初に4回のジャンプを跳んでからスピンとコレオシークエンスを入れ、そのあとに3回転を跳んでからスピン、ステップ、スピンという構成になっている。そのせいか、GPシリーズでのフリー後半のジャンプは、昨季ほどの勢いがない。昨季のプログラムがジュニアから持ち越しの2シーズン目だったことを考えれば、今季から新しくなったプログラムはまだ熟成しきっていない部分もあるのだろう。それを考えれば、ザギトワの出来次第で日本勢がつけ入る隙もありそうだ。

 とはいえ、紀平にも不安定な部分はある。フランス大会SPでトリプルアクセルが1回転になり、フリーでは最初のトリプルアクセルが回転不足、2本目をダブルアクセル+3回転トーループに変更しており、そこをどう克服するかが大きな課題になってくるだろう。

 一方、安定感という点でザギトワと紀平のふたりを凌ぐのが宮原だ。スケートアメリカではSP、フリーともにフリップで”ノット・クリアー・エッジ”を取られただけで219.71点。NHK杯のSPはノーミスの演技で76.08点とすると、フリーでは後半のジャンプ2本が回転不足、3回転ルッツ2本は”ノット・クリアー・エッジ”となるミスはあったが、143.39点を獲得して合計を219.47点にしている。

 彼女のフリーの昨季までの最高得点は後半の4回のジャンプが1.1倍になっていた平昌五輪の146.44点だが、最後の3本が1.1倍になる新ルールでの最高得点はスケートアメリカでの145.85点。NHK杯の結果を見ても、昨季からの進化は明らかで、220点台中盤も見えてきている。ザギトワと紀平がミスのない演技をすれば優勝争いは230点台になるが、ふたりが少しでもミスをすれば、宮原もその争いに加わるチャンスがある。