跳べないジャンプに試合で挑む。宇野昌磨が平昌五輪で大爆発する予感 (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi  能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

 最近プログラムの構成を変えたばかりで、通しの練習は数えるほどしかできず、成功したこともなかったと宇野は苦笑した。跳べないとわかっていても試合で挑戦したことについては、「ここでやらないと」という強い気持ちがあったからという。もしダメであっても、挑戦しなければ次の段階には進めない。その姿勢を貫くのが自分のスタイルという自負があるのだろう。

 ここ数年、宇野は、試合ごとに新しいジャンプを入れるなど、プログラム構成を変えることが多い。こうした攻めの姿勢は、常により良いものにしようと考えていることの表れだ。

 今シーズンの宇野は、初戦のロンバルディア杯で合計319.84点の自己最高得点を出して優勝したが、「納得いく練習ができたうえでの結果ではなかった」(宇野)。また、スケートカナダではSPは体が動きすぎるほど調子がよかったが、フリーでは「昨日の半分くらいしか体が動いていない」状態で、1位にはなったものの、4回転トーループを1本失敗していた。

 続くフランス杯は、大会前にインフルエンザにかかって練習を積めなかった影響で力を出しきれず、手応えのあったグランプリ(GP)ファイナルでは4回転トーループでミスを連発して優勝を逃していた。

 全体のレベルを上げられている手応えはあるのだが、大会前や大会中のコンディショニングがうまくいかず、納得できる結果を出せていないのが現状だ。守りに入らず、あえて構成を難しくしていることで、これまでできていたことができなくなり、微妙な感覚のズレに苦しんでいるところもある。

 今回、異例ともいえるダブルアクセル+4回転トーループを入れたのも「このところ4回転トーループを試合で失敗していて連続ジャンプにならなかったりしていましたが、『こういう案もあるよ』とダブルアクセル+4回転トーループを提案してもらったので、やってみようと思った」からだ。

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