つながる金メダリストの系譜。荒川静香と羽生結弦が語る「五輪の記憶」 (3ページ目)

  • スポルティーバ●文 text by Sportiva
  • 能登直/仙台市●撮影 photo by Noto Sunao

「フィギュアはショートトラックと同じリンクで行なわれたので、フリー当日の朝の公式練習が早かったんです。夜の10時くらいにSPが終わって、ドーピング検査などもあって部屋に戻れたのが深夜の1時。翌日の公式練習が7時くらいからだったので、4、5時間しか寝られないハードスケジュールでした」

 そこに緊張も加わってミスを重ね、自己ベストに程遠いスコアでフリーを終えた。羽生の後には3.93点差でSP2位につけていたパトリック・チャン(カナダ)が控えていたこともあり、演技を終えた瞬間に「金メダルはないな......」と思ったという。結果は、チャンも本来の実力を発揮できずに羽生が金メダルを獲得したものの、「ただビックリという感じ。自分の演技に手応えがなかったので嬉しい気持ちはなく、インタビューでも『悔しい』としか言えませんでした」と当時の心境を振り返った。

 トークショーで互いのスケート人生について語った荒川と羽生 トークショーで互いのスケート人生について語った荒川と羽生 すでに現役生活を終え、リンクの外から見ていた荒川は、その男子フリーの様子についてこう語った。

「誰が一番自分の演技ができるのかという、ものすごい緊張感がありました。特にメダルのかかったオリンピックの最終グループでは、普段は失敗しない選手でも思うようにいかないものなんです。それでも、羽生選手の演技は素晴らしかったですが、『悔しい』という心情はとても分かります。その借りは、平昌オリンピックの舞台で返してほしいですね」

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