スケートカナダSPで慎重すぎた羽生結弦。フリーは「燃える」宣言 (3ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 能登直●撮影 photo by Noto Sunao

 意識してしまったのは気持ちではなく、技術的なことだという。「こうやって跳べば跳べる」「これとこれをやって跳べば跳べる」ということを全体的に意識し過ぎたのかもしれないと言う。だが「その意識がうまくハマッてくれた」後半のトリプリアクセルは、GOE加点2・71点をもらう羽生本来の出来だった。

「後半に関していえばシットスピンやステップ、最後のスピンも明らかに良くなっているという感触があります。最初のループのパンクというのは思い切り跳んでいるので、思っている以上に体力を使いますし......。その体力の消耗はありましたけど、スピンだけではなくステップも加点をもらっていますし、レベル4を取れているのでそこは良かったと思います」

 ステップに関していえば、9月の公開練習で見せていた直線的なキレと力強さが前面に出てくるようなものには、まだなっていない印象だ。羽生はこのプログラムを「わりとクールなイメージがあったので、自分の中ではあまりグイグイいくのではなく、ちょっと抑えて、ということを意識していました」と言っていたが、曲調自体は感情を込めて情熱的に滑るという彼が得意とするジャンル。

 だからこそ、練習では9月の時点で何度もノーミスの演技ができるまでになっていたのだろう。だが、そのために自分の完成形のイメージが早くでき過ぎてしまい、試合前から細部にこだわりすぎるようになってしまっているのかもしれない。

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