フリーで挽回、さらに一歩先へ。浅田真央が全日本で得た小さな手応え
新旧全日本女王対決が注目された今年の全日本選手権女子シングルは、過去・現在・未来のエースが表彰台に顔をそろえた格好となった。
27日に行なわれた女子フリーで、宮原知子は139.59点をマークして1位となり、合計212.83点で大会14人目となる2連覇を達成した。総合2位には、ショートプログラム(SP)フリーともに3位に食い込む健闘を見せた次代のエース、全日本ジュニア女王の樋口新葉が。そして1年間の休養から今季復帰した浅田真央は、SP5位からフリーでは2位となって総合3位に浮上。元全日本女王の意地を見せる演技を披露して表彰台を死守し、世界選手権(3月・米ボストン)の日本代表に選ばれた。
全日本選手権で3位となり、世界選手権への出場を決めた浅田真央 2年ぶりの全日本は、後輩の選手が成長した姿を目の当たりにしたり、これまで一緒に戦ったことがない10代半ばの選手たちと同じ舞台に立ったり、浅田にとって感慨深いものがあったに違いない。そんな勢いのある若手選手たちと今後どう戦っていくべきなのか。また、自分なりに掲げた目標をどうやってクリアしていけばいいのか。決して本調子ではなかった中で、心の葛藤を抱えながら戦う彼女がいた。
フリーの演技後、浅田は両目をつぶり、首をかしげながらしばらく何かの思いに浸っていた。そして立ち上がり、会場に挨拶。ここまで笑顔はまったくなかった。やっと笑顔が見えたのは、キスアンドクライでカメラに向かったときだった。
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