【フィギュア】ルール変更が選手たちに及ぼす影響は? (2ページ目)

  • 辛仁夏●文 text by Synn Yinha
  • photo by Yohei Osada/AFLO SPORT

「!」よりも明らかな踏み切り違反と見なされる「e」がついた場合、昨シーズンまではGOE(出来栄え点)だけの減点だったが、今シーズンからは基礎点が70%に減らされることになった。より踏み切りのエッジが厳密に判定されることで、フリップとルッツのエッジエラーを取られる選手が続出するかもしれない。「フリップジャンプはクリアなインサイドエッジでないと認められない」(吉岡氏)という具合だ。

 例えば、3回転ルッツで踏み切り違反と判定された場合、昨シーズンは「6.0」だった基礎点が今シーズンは「4.2」に減らされる。踏み切り違反に回転不足が重なった場合は基礎点を半分(50%減)にする新基準も採用された。

 このルール変更にともない、今シーズンは勝負の行方がエッジエラーで大きく左右される場面も出てきそうだ。昨シーズンまでの日本勢では、男子の羽生結弦や無良崇人がフリップ、女子の浅田真央や村上佳菜子がルッツで踏み切り違反を取られた大会があった。

 ジャンプ以外で、観戦するうえで大きな変化が感じられるかもしれないのが、プログラムを演じる上でもっとも重要な音楽だ。

(3)アイスダンスでは一足先に導入されていたボーカル音楽が、今シーズンから男女シングルでもOKになった。これは2012年6月のISU総会で決まっていた既定路線のルール変更なので、選手たちも準備はできているはず。ただし観客から見て競技会がより面白くなるか、エキシビションの延長のように映るのかなどは、反応を見てみないと未知数だ。

 吉岡氏は「歌詞そのものに意味を持たせてそれを表現しようとすると難しいかもしれません。イメージが固定されてしまうこともあると思いますから。さらに英語の歌詞をすべてのジャッジが正しく理解できるか、または観客が受け入れて乗ってくれるかという観点で言えば、かなりリスクがあるかもしれません。どの程度の選手が使ってくるかは分からないが、多くはないと思います」と語る。

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