井上尚弥に望むのは中谷潤人との一戦? フェザー級転向? 在米ベテラン記者3人に聞く「怪物」の2025年 (2ページ目)
2.4〜5月に噂される井上のアメリカ再進出は
楽しみなイベントになると感じているか?
カノービオ : 井上のラスベガス再進出戦が組まれるというなら、もちろん私はベガスに飛ぶ。今の井上はボクシング関係者を興奮させるだけのオーラをまとっている。私は昨年6月、全米ボクシング記者協会の年間賞セレモニーで彼に対面できたが、それはワクワクするような経験だった。アメリカではなかなか会えない選手だから、私と同じように感じる関係者、ファンは多いに違いない。
今春、本当にアメリカで試合を組むのであれば、大注目のステージになるはずだ。サウジアラビアの少なめの観客の前で試合をこなすよりも、やはりアメリカの大アリーナで戦ってほしい。
グッダル : もちろんエキサイティングなイベントになる。アメリカのボクシング関係者のなかには、アメリカで頻繁に戦う姿が見られていないという理由で井上の真価に懐疑的な者が、いまだに存在する。もちろん井上の強さはもう誰もが認識しているが、上質なアトラクションであることはアメリカのリングで証明されなければいけないと考えられているからだろう。
個人的にも、知名度が大きく上がった段階で行なわれる今回の再渡米戦で井上がどう受け取られるかが楽しみだ。ハードコアなボクシングファン、アジア人のコミュニティは熱狂的に迎えるだろうし、その実現性はともかく、井上とジャーボンテ・デービス、"バム"・ロドリゲスとの階級を超えたスーパーファイトの待望論がこれまで以上に出てくるかもしれない。ひとつ希望を言えば、セミファイナルには中谷潤人の試合も組み込んで、日本人同士のスーパーファイトへの期待感を煽ってほしいとも思う。
バティア : 井上は常に新しいチャレンジを求めているように感じる。またアメリカで戦うとなれば、彼にとってそれはまた新たな挑戦になるのだろう。舞台は長くボクシングの聖地であり続けてきたラスベガスになるのだろうが、ロサンゼルス、ニューヨークでも今なら大観衆の動員は可能なはずだ。
軽量級最大級のビッグネームになった井上はもうアメリカのリングを必要とはしていないが、あくまで彼自身が望むのであれば、それは興味深い動きになる。再度のアメリカ進出によって、井上はさらにファンベースの層を広げることができるに違いない。
著者プロフィール
杉浦大介 (すぎうら・だいすけ)
すぎうら・だいすけ 東京都生まれ。高校球児からアマチュアボクサーを経て大学卒業と同時に渡米。ニューヨークでフリーライターになる。現在はNBA、MLB、NFL、ボクシングなどを中心に精力的に取材活動を行なう
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