K−1ファイターで美容師の菅原美優。「最初は格闘技だけ」のはずが、なぜ「二刀流」の選手になったのか (4ページ目)

  • 篠崎貴浩●取材・文 text by Shinozaki Takahiro
  • 撮影●田中亘 photo by Tanaka Wataru

――格闘家と美容師、どちらか一方を選ぶという選択はなかったんですか?

「最初は、格闘技だけをやるつもりでした。専門学校の入学通知がきたタイミングで、プロのオファーをもらったんです。お母さんは『格闘技は、男子がメジャーなスポーツだし、ずっと続けるのは厳しいから手に職をつけておきなさい』と。それが、お母さんの格闘技をやる上でのお願いだったんです。お母さんは、ずっとパートで働いているんですけど、『なにか資格を取りなさい』と。それで、国家資格を取るために美容学校に入学しました」

――お母さんを説得するための美容師の資格でもあったんですね。

「そうですね。それで、専門学校の先生との最初の面談の時、就活の話になったんです。その時『就職はしません、格闘技をやりたい』『でも国家試験はしっかり取ります』と言いました。そしたら偶然にも担任の先生が、空手を長年やっている方だったんです」

――ということは、格闘技への理解もあった?

「そうなんです。『わかった』と言ってくれて、結局、専門学校の2年生になる前にプロデビューしました。その後、今働いている美容室から声が掛かって『格闘家を続ける環境を整えるからうちで働かないか?』と。美容室としては、美容師もダブルワークができる時代、それを応援する会社があると示したい、という理由だったんです。そんなこんなでホント人に助けられてばかりなんです」

――それで両立することになったんですね。そもそも、美容師に興味を持ったのはいつ頃だったのでしょうか?

「高校生ぐらいですが、最初は美容師志望じゃなかったんです。中学生ぐらいの頃からYouTubeのメイク動画が好きで見ていて、美容学校に入ることを考え始めたんです。それで、高校生の時に結婚式場でアルバイトをしていたんですけど、そこで、花嫁の方につき添ってメイク直しをしている人を見て、この仕事がしたいと思い始めたんですよね。

だから、最初はブライダル志望で、式場で花嫁さんのお直しとかヘアセットとかをする仕事がしたくて、美容学校に入ったんです。でも、ブライダルの仕事はあとからでもできるし、せっかく美容師のお話を頂いたので、美容師になりました。将来的にブライダルで働くにしても美容師の経験がないと厳しいみたいなので、いずれにしてもよかったなと思っています」

――今、美容師として3年目、スタイリストとしてカットできるのはいつ頃になるんですか?

「私が働いてる美容室は、髪を切れるようになるまで時間がかかるんです。アシスタント8年目の先輩もいます。ここ最近ちょっと改正されて、カットできるまでの期間が短くなりました。カリキュラムがあって、それを全部クリアするとスタイリストデビューなんですけど、それがキュッと短縮されて。それでも時間がかかるほうだと思いますが、基礎をしっかり学べるのでいいのかなって思います。メンタル勝負ですね (笑)」

――菅原選手に髪を切って欲しいというファンもいらっしゃるのでは?

「ありがたいことにいらっしゃいます。早くスタイリストデビューしたいですね!」

後編につづく>>

(取材協力:K-1ジム三軒茶屋 シルバーウルフ)


【Profile】
菅原美優(すがわら・みゆう)
1999年11月22日生まれ、東京都出身。身長162cm。
小学1年生の時に父の影響で空手を始め、高校在学時にK-1アマチュアに出場。2019年1月にプロデビュー。第3代Krush女子アトム級王座決定トーナメントで優勝。2021年3月「K'FESTA.4 Day.1」でK-1デビュー。2021年5月のK-1横浜武道館大会ではMIOとの注目のK-1女子日本人対決に臨むも判定で敗れる。11月のKrushではベルトをかけてMIOと再戦し、王座防衛とリベンジに成功した。今年6月25日のK-1初の女子大会「K-1 RING OF VENUS」では初代K-1女子アトム級王座決定トーナメントの決勝でパヤーフォン・アユタヤファイトジムに、延長の末、判定1-2で敗れ初代王座獲得を逃した。10月28日に「Krush.142」でチャン・リー(K-1ジム五反田チームキングス)を相手に3度目の防衛戦に臨む。

(後編「戦う美容師・菅原美優の本音」>>)

◆Krush.142 大会情報
日時:10月28日東京・後楽園ホール12:00開場(予定)/ 14:00開始(予定)
詳細はこちら>>

◆YouTubeチャンネル
「菅原美優ちゃんねる」はこちら>>

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