ウナギ・サヤカは「普通」よりも嫌われるほうを選ぶ。「感情を動かしてナンボなんで」 (2ページ目)

  • 尾崎ムギ子●文 text by Ozaki Mugiko

■物議を醸した"査定マッチ"

試合中のウナギ 写真提供/スターダム試合中のウナギ 写真提供/スターダムこの記事に関連する写真を見る 7月、白川未奈が持つフューチャー・オブ・スターダム王座のベルトを奪取。「20歳以下」「キャリア3年未満」のいずれかを満たす選手を対象としたタイトル。王者・ウナギは挑戦者に、スターダム初参戦の桜井まい、月山和香を次々と指名し、"査定マッチ"として物議を醸した。

「初めてスターダムに上がったリングが、タイトルマッチなんです。たぶんいきなりハードルが高いことをやってたと思うんですけど、それを越えたらどんな試合でもできる。新しく入った人間は叩かれる傾向にあるけど、変に叩かれることを恐れないでほしかった。

 それに、飯田(沙耶)とか舞華とかが巻いてた時って、ちょっと格が高いイメージというか、『私の目標はフューチャーです』って言いにくい雰囲気があったんですよ。でもこのベルトは期限があるからこそ、権利がある人たちが全員で『取りたいです』っていうベルトにしたかった。遠慮しない人間作り、カブキ流の教育、みたいな感じですね」

「団体のことを考えてますね」と言うと、「考えてないです」と笑う。そうしたほうが面白いからしているだけ、と。

「あの時、本当に全員が『ベルトがほしい』って言ってたんですよ。今まで言ってなかった人たちが『ウナギが巻いてるなら、私だって』みたいな。それでもいいんです。みんなが巻きたいって言えるベルトが一番いい。赤(ワールド・オブ・スターダム王座)って、たぶんみんなが巻きたいって思ってるけど、全員が巻きたいとは言わないじゃないですか。そういう"日本人あるある"の遠慮を取り払ってほしいという意味での査定マッチでした」

 ウナギはアンチに対して、よくこう言う。「あなたのトラウマになりたい」――。普通だと思われるくらいなら、徹底的に嫌われるほうがよっぽどいいと彼女は考えている。

「『人間何年生』っていう法則が自分の中にあるんです。人間は徳を積んでいないと人間に生まれ変われないんですよ。ウナは何回も人間やってるけど、アンチたちはまだ人間1年目だから、これを言ったら人が傷つくとかがわかってない。自分の気持ちを抑えることができない、人間になりたての奴が言ってるだけだから、『こいつ、人間1年生かよ!』みたいな感じに思ってます。『お前、そんな感情動かされてんの? ざまあだな!』と。本当に思うツボです。人間の感情を動かしてナンボなんで」

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