プロレスラー伊藤麻希が強くなって失った「生き様」。見せる「必要がなくなった」と言い切れる理由 (4ページ目)

  • 尾崎ムギ子●文 text by Ozaki Mugiko

 海外で自分のフィギュアが作られるくらい、プロレス界で売れたいという野望がある。しかし日本では、自分が人気者になるよりも、後輩をもっと輝かせたい。

「最近、荒井優希っていうSKE48のメンバーが東京女子に来たので、彼女に対してはそういう気持ちですね。昔だったら絶対こんなこと思わなかったんですけど、今はもう余裕が出てきたから、人のことも考えられるようになりました。『この子はもっとこうすれば伸びる』って思ったら、アドバイスをしています。そういうことに楽しみを置いているから、もっと人気者になりたいとかはあんまり思わないんですよね。今のファンの方はもちろん大事にしたいんですけど」

 2018年1月の伊藤麻希は、プロレスにすべてを捧げて男色ディーノにリップロックをした。確かに面白い試合だった。しかし、2021年8月の伊藤麻希は違う。「誰も傷つかないプロレスがしたい」と話す彼女は、あらゆること――「プロレスは生き様を見せなければ成立しない」「女子プロレスラーは女を捨てなければいけない」といった固定観念など――から解き放たれている。

「誰も傷つかないプロレスというと、差別的なことはしないとか?」と尋ねると、彼女は迷いなくこう答えた。「はい、絶対」――。

【プロフィール】
■伊藤麻希(いとう・まき)
1995年7月22日、福岡県小郡市生まれ。160cm。2011年7月、「LinQ」2期生としてグループに加入。2013年8月13日、DDT両国国技館大会にゲスト出演したのをきっかけに、プロレスに興味を持つ。2016年12月11日博多スターレーンでの山下実優戦でプロデビュー。2019年10月19日、インターナショナル・プリンセス王座を戴冠。2021年2月、AEW女子世界王座時期挑戦者トーナメント日本サイド出場。1回戦で水波綾に敗退するも、アメリカで爆発的な人気を博す。
Twitter>>@maki_itoh

【大会情報】
「WRESTLE PRINCESS Ⅱ」
日時:2021年10月9日(土) 開場13:00 開始14:00
会場:東京・大田区総合体育館 

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