復活・中村美里が金メダル!「今は柔道が楽しい」 (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by (C)Koji Yamazaki /PHOTO KISHIMOTO

 組み合わせが発表され、初戦の相手は北朝鮮のリ・チャンゴクだった。中村にとって北朝鮮は、ロンドン五輪の初戦で当たって敗退した因縁の国。だが当日になってリが棄権。

 中村は「組み合わせを見た時点で、違う選手だけどロンドンの悔しさをぶつけたいと思っていたので少し残念でした」と語った。

 その結果、準々決勝からのスタートになったが、引手をなかなか取らせないチャイニーズタイペイの連珮如を相手に足を飛ばしながら倒すと、すぐに寝技に入ろうとするしつこい柔道を再三見せる。そして開始2分58秒で崩れ上四方固めにとらえると、3分8秒で一本勝ち。さらに準決勝では中国の馬英楠に両袖を取られて組めない状態ながら、しつこく足を出し、崩しながら攻めて3分2秒に縦四方固めで一本勝ちを収めた。終始、落ち着いた試合運びで中村らしい勝ち方をした。

 そんな自信を胸に決勝へ臨んだ中村。相手のババムラトワ(トルクメニスタン)はしっかり組んでくる選手だが、中村は足を飛ばして大内刈りなどを仕掛けると、1分40秒に小外刈りで一本。それでも彼女は「最近は後から判定が変わることがあるので、一本から変わってもいい様に押さえ込んでいました」と力を緩めなかった。冷静な試合運びで、期待を裏切らずあっさりと金メダルを獲得した。

 南条充寿女子監督は「世界選手権に比べればレベルが落ちる選手を相手に、金メダルは獲って当然と思われていた。そのプレッシャーの中できっちりと結果を出したことは自信になるだろうし、次につながる」と話した。

 中村はそれを問われるとフッと笑みを浮かべ、「いろいろ応援してもらったり期待もあったけど、その期待をパワーに変えました」と話して、こう続けた。

「自分の中ではこの大会が今年一番大きな大会と決めていて、そこで優勝できたのは自信になると思うし、次につながります。とにかくこの大会で結果を出して、次の大会でもその次の大会でも結果を出していきたいと思っているので。この優勝はいい意味でのステップになると思います」

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