【ボクシング】1ヶ月に世界戦11試合。その勝者、覚えていますか? (2ページ目)

  • 原 功●文 text by Hara Isao photo by AFLO

 この状況を踏まえ、日本ボクシングは盛り上がっているのか、否か――。

 まずは、「テレビ放送」という面から見てみよう。上記のカードのうち、亀田和、山中、八重樫、三浦、亀田大の5試合は民放やWOWOWで放送されたため、不特定多数の人々が観戦する機会を得られた。また、8月25日には世界戦ではないものの、ロンドン五輪金メダリスト・村田諒太(三迫ジム)のプロデビュー戦と、20歳の新鋭・井上尚弥(大橋ジム)の試合もゴールデンタイムに放送されたため、ボクシングファンならずとも、今夏にボクシングを堪能した人は少なくないはずだ。そういった意味では、「隆盛」と言ってもいいのかもしれない。

 ただ、手放しで喜べないデータもある。今年、「注目メインカード」として放送されたボクシングのテレビ視聴率を並べてみた。

・内山高志、V7戦(5月6日/テレビ東京系列)=9.3%
・井岡一翔、V1戦(5月8日/TBS系列)=13.5%
・亀田興毅、V7戦(7月23日/TBS系列)=11.8%
・亀田和毅、戴冠戦(8月1日/TBS系列)=13.5%
・山中慎介、V4戦(8月12日/日本テレビ系列)=7.6%
・村田諒太、デビュー戦(8月25日/フジテレビ系列)=6.6%
・亀田大毅、戴冠戦(9月3日/TBS系列)=11.8%
※関東地区。ビデオリサーチ調べ。

 同時間帯の他局番組や、試合内容といった客観情勢に左右される面があるとはいえ、内山高志や山中慎介といったエースの試合がふたケタの数字に届かない現実は、重く受け止めなければなるまい。また、知名度の高い亀田兄弟にしても、以前の20%超が当たり前だった時期と比較すると、実に寂しい数字といえる。しかし、それ以上に憂慮すべきは、試合が放送されることなく、活字メディアでも写真のないベタ記事程度で済まされてしまった世界戦が数多くあったことだ。事実、8月から9月にかけての約1ヵ月で、ボクシングファンの目にほとんど触れることなく終わった世界戦は6試合もある。むしろ関係者は、この現実にこそ目を向ける必要があるのではないだろうか。

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