【男子柔道】「お家芸」の復活にむけて。井上康生新監督が行なう改革とは? (3ページ目)

  • 折山淑美●文・取材 text by Oriyama Toshimi
  • 藤田孝夫●写真 photo by Fujita Takao

 その上で練習方法も模索したいという。特に100kg超級はそれが急務だ。それは100kg級と100kg超級を担当する鈴木桂治コーチも、「超級の選手でも体重が20~30㎏は違う選手がゴロゴロいるから、それを同じように走らせるのは問題がある。いろいろ工夫していかなければいけないと思う」と納得する。

 また他にも、国内では力を発揮しても、海外ではなかなか勝てない選手をどう進化させていくかという事もある。『勝てないのは何故なのか』ということを徹底的に研究し、やるべきことを明確にすることは、まず己を知るところから始まる。それは選手のみならず、代表コーチや所属チームのコーチも意識しなければいけない部分だ。 

「中期的には2016年のリオデジャネイロ五輪で結果を出すという大きな目標があるし、私も監督を引き受けるにあたっては覚悟を決めた部分もあるから、全身全霊をかけてやっていかなければいけないと思います。それに短期的にも、来年の世界選手権で結果を出すという目標がある。そのためには立ち技や寝技の部分やメンタル、体力など総合力の重要性を選手やコーチたちがどれだけ認識できるかがまず課題。とにかく厳しくやっていきたい」

 井上康生の監督就任で一気に注目が集まった男子柔道。ロンドンで金メダル0に終わった今、代表チームの監督やコーチだけではなく、選手が所属するチームの指導者など、柔道に関わる全員が危機感を持つことこそ最も必要になっている。

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