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【女子バレー】女子バレー界のニューヒロイン、佐藤淑乃が振り返る挫折と成長 憧れのブラジルのエースも「絶対に勝ちたい相手」 (2ページ目)

  • 田中夕子●取材・文 text by Tanaka Yuko

 だがその後、8月から9月に開催された世界選手権を経て、全日本インカレに向けた注目選手のひとりとして再び佐藤の取材に訪れた時は、薩摩川内で見せた顔とは少し違った。

 礼儀正しく、問いに対しても明確な言葉で応える姿は変わらなかったが、自身初の世界選手権の話になると少し視線が下を向いた。

 アウトサイドヒッターの佐藤に与えられた役割は、リリーフサーバー。すぐに出場機会は訪れたが、大会前半は相手を崩し、効果を上げるどころかミスが続いた。2戦目のチェコ戦を終えた後、自分の不甲斐なさが悔しくて、泣いてしまったことがある、と明かした。

「全然ダメだ、と思ってしまって。もともと私、すごくネガティブなのでうまくいかないと落ち込むタイプなんですけど、(当時の主将の古賀)紗理那さんが『大丈夫だよ、まだ始まったばっかりだし、たとえミスしても攻めてくれれば勢いは絶対につく。ミスを怖がって打つよりも、思いきって打ってくれたほうがチームに勢いがつくからそれでいいんだよ』と声をかけてくれたんです。

 キャプテンで、エースで、すごく大変なのに私のサーブがうまくいかないこともちゃんと見ていて、トスの位置やジャンプの位置に対してもアドバイスをしてくれた。ダメダメだった自分に対してもこんなふうに接してくれて、『本当にすごい人だな』ってあの時、あらためて思わされました」

【成長した実感を胸に、2度目の世界選手権へ】

 うれしさよりも苦い記憶が残った世界選手権を終えてからも、筑波大のエースとして活躍。2023年にはユニバーシアード日本代表で銀メダルを獲得し、4年時には全日本インカレを制し「人生で初めて」の日本一に輝いた。強さとたくましさを増し、さらなる飛躍を遂げていくのだろうという期待を体現したのが、筑波大卒業後にNECレッドロケッツ川崎に入団し、新人賞も受賞した2024-25シーズンだった。

 ジャンプやスピードを向上させるべく、身体づくりに時間を費やしたことに加え、身体の動かし方や使い方に対しての知識も得た。漠然と「いいサーブを打つ」「強いスパイクを打つ」と量だけをこなす練習ではなく、どうやって打つのか、そのためにどう動くのか。一つひとつをひも解きながら取り組むことで、格段に進化を遂げた。

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