教え子の髙橋藍がプレーするサントリーサンバーズ大阪のAC、そしてU18監督へ 松永理生コーチが語るSVリーグの「大きな課題」とバレー界の未来 (2ページ目)
――具体的に、どのようなところで課題がありますか?
松永 高校の時点でも、それまでに技術やバレーボールの考え方、状況判断をしっかり学んできて、ゲームのなかで分析して「いかに相手の弱いところを突けるか」ができている子たちもいます。一方で、あまり学べなかったのかな、という子も多く、そのままSVリーグに進んでプレーしている選手も少なからずいると感じます。
本来ならば技術指導を徹底したいのですが、なかなかその時間や環境がないんです。例えば僕も、選手のスパイクを見て「この打ち方だと伸びないな」と思った時は、身体の使い方や打ち方の指導に時間を割きたいのですが、その選手が、SVリーグでプレーできる機会があるということに「これで十分だ」と満足して、そこに取り組まないことがある。
より成長しなければ、チームはその選手に代わる選手をほかから獲ってくればいい、という発想になってしまいます。徹底的に技術を教えるために、U15だけでなくU18、23といったアンダーカテゴリーがクラブのなかにできれば、もっと環境は変わるはずです。
――理論を学び、方法がわかる指導者が教えれば技術は伸びる?
松永 間違いなく伸びます。豊田合成(現ウルフドッグス名古屋)を優勝させた(クリスティアンソン・)アンディッシュ監督や、日本代表の(フィリップ・)ブラン監督は最たる例ですよね。理論と方法がわかれば、一気に伸びる。これは僕の持論ですが、体力には年齢によって限界がくるけれど、技術はいつまででも伸びるし、伸ばせる。実際に石川(祐希)も、「今は技術を伸ばせるチャンス」と話しています。だから技術指導は大事で、経験のある指導者の存在が必要なんです。
【バレー界全体の将来を考えた強化や育成】
――東山高で指導した髙橋藍選手とは、サンバーズで再び選手と指導者として接しています。変化や成長はどのようなところで感じましたか?
松永 1年目のSVリーグのシーズン中はメディア対応も含め、自分のコンディションを最優先にできなかったこともあり、本調子ではなく苦しんだり、いら立つ姿も見ました。でも、彼には「日本のバレーボールを盛り上げるために頑張る」という軸があるので、どんな状況でもやるべきことを工夫してやる。何より、藍がいる時といない時では、チーム全体の明るさも違うんですよ。アップの時から藍がめちゃくちゃ声を出すし、雰囲気も作る。チームに対して献身的に、やるべきことを果たしているように見えました。
2 / 3