Bリーグ発足に危機感?バレーボール新リーグ構想に勝算はあるか (3ページ目)

  • 中西美雁●文 text by Nakanishi Mikari  photo by Kyodo News


「(この改革は)遅いくらいですよ! イタリアやブラジルはプロチームしかない。当然、結果の出ないチーム、または結果が出ても、スポンサーが降りて潰れるチームもこれまでたくさんあった。選手はみなプロ契約で、契約期間が満了すると残留する選手もいれば、移籍する選手、移籍先が見つからない選手が出てくる。とても残酷でシビアな世界です。だからこそ競争が激しく、強い。

 海外の選手たちはいろいろなチームに移籍をして、たくさんの選手やバレー関係者と交流を深め、さまざまなトレーニングの仕方、技術、チームの経営状態など多くの情報を手に入れることができます。チーム運営のスタッフやチームの顔となっている選手は、スポンサーを集めるのにどんどん露出をしていくのが普通です。予算がなければ、チームは活動していくお金がなくなり、選手も獲得できず、潰れてしまいますから。

 ブラジルの2部リーグの下位チームには月3万円の給与で必死に練習し、ビッグプレーヤーになるのを夢見ている選手が山のようにいます。一方でほんの一握りですが、ブラジル1部や世界のビッグクラブでは億を稼いでいる選手もいる。

 この新リーグ構想がいい方向に進むことを心から願っています」

 しかし、賛同する声ばかりではない。Vリーグのある選手は、「プロ化を強制されるようになったら、その前に引退して社業をやります。プロ野球やJリーグでも引退後どうするかは結構問題になっていますよね。今でも一部の強豪校で有望な選手がⅤリーグ選手になる進路を選ばないで一般就職をすることがありますが、この新リーグが始まったら、そういう選手がもっと増えると思う」と危惧を述べた。

 別のチーム関係者も「あまりに急すぎる。また、チーム側のメリットが見えない」と懸念をあらわにした。これに対して推進側のVリーグ関係者は「これまで数多くの改革について議論する時間を作ったにもかかわらず、結局『見送り』になることばかりだった。今回はその轍は踏まない。東京五輪を4年後に控え、Bリーグが開幕した。今しかチャンスはない」と繰り返す。

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