遅れてきた「花の94年組」。二宮真琴が咲き誇ったウインブルドン (4ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by AFLO

 戦術面でも、3回戦まではパートナーの助言に従うことも多かったが、準々決勝では「自分の直感」を信じて積極的に動く。特に試合終盤で「今日一番の勝負」に出て決めたボレーが、ベスト4への扉を開くカギとなった。

 勝ち上がるたびに立ち居振る舞いが自信に満ち、目の光が増すという急成長中の選手特有の風を、この10日間の彼女はまとっていた。2時間58分に及ぶ死闘となった準決勝のモニカ・ニクレスク(ルーマニア)/チャン・ハオチン(台湾)戦では、コート上の4人のうちもっとも足が動き、コート上を走り回り、一番思い切り腕を振っていたのが二宮だった。

 もつれ込んだ第3セット終盤で「勝利まで2ポイント」に迫ったときには、準々決勝と同様に「一番の勝負」に出て、リターンゲームで自ら仕掛ける。しかし、このときはボレーを決めるべく動いたその逆を、試合巧者のニクレスクに突かれた。自分の横を抜けていくボールの行方を目で追いながら、思わず天を仰ぐ二宮......。

 勝負に出たこと自体に、悔いはない。だが、「もっと早い段階で違うことをトライすべきだった」と、試合後に省みる。それはこの舞台で、1万人に迫る観客が見守るなか、ここまでしびれる試合をしたからこそ得られた、かけがえのない財産だ。

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