全米OP準優勝も収穫大。錦織圭の次なる目標は? (3ページ目)

  • 神仁司●取材・文 text by Ko Hitoshi photo by Ko Hitoshi

 加えて、準決勝で第1シードのノバク・ジョコビッチを破り、グランドスラムで初めて世界ナンバーワンを破った日本男子選手となったことは、今後、錦織の自信につながるはずであり、世界の頂点への挑戦にも大きな財産になるはずだ。王者ジョコビッチを破った時に、オールラウンドプレーを披露した錦織は、自分の理想とするプレーができ始めていることよって、より自信を深めている。

「(世界の頂点に)格段に近づいている。一番自信になるのは、(ノバク)・ジョコビッチに競り勝つことができたこと。自分が無理をしないテニスでも、1位の選手に勝てた」

 錦織は、ATPランキングを自己最高の8位に上げると同時に、毎年上位8人しか出場できないATPツアーの最終戦「ワールドツアーファイナルズ」の出場権争い(Race to London)で、10番目から6番目に浮上した。このままシーズン終盤に向けて、好成績をキープしていければ、日本男子選手として初出場できる可能性がある。

「出場に近づけたのは大きいです。まだまだ500(大会)も残っていますし、マスターズ(1000大会)も2個残っているので、そこでしっかり結果を出さないと、8位に入れないと思う。今年の目標に絶対になると思う。(8人に)入りたいですね」

“ビッグ4”の対決でも、トップ10選手の争いでもない、ここ10年では非常に珍しいニューヨークでの決勝だったが、今後は錦織らの世代が台頭していくことで、こういったケースが増えていくだろう。時代が少しずつ動きつつある中で、「またグランドスラムの決勝に戻ってきたい」と、錦織は新たな意欲を燃やしている。

「そんな簡単に来られるところではないことを、十分にわかっている。グランドスラムで活躍することがずっと目標なので、この悔しさを忘れずに、また優勝を目指したい」

 新しい時代の先頭に立つのは、錦織かもしれない。そんなことを予感させる錦織のUSオープン準優勝であった。

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