大畑大介が認める日本代表の強さ「やべえ、どうしよう」の選択がない (4ページ目)

  • 松瀬 学●文 text Matsuse Manabu
  • 齋藤龍太郎●写真 photo by Saito Ryutaro

――その希望的予想を実現するために必要なのは。

「日本のファンの人たちの声援でしょう」

――日本チームとしては。

「けが人が出ない。それだけです。いま、状態がいいから、コワい部分もあります。ポイントは、ほんとうに自分たちがやりたいことをやれるメンバーが最後まで残ることでしょう。1試合も欠けずに」

――けが人は防げないのでは。

「いや、出ないような日本のマッチ・スケジュールだと思います」

――確かに、日程的に日本は恵まれています。地の利もあります。チームコンディションもよさそうです。

「日本はしっかり、準備をしてきました。だから、僕は結果を出してほしいんです。これまでの日本の歴史の中で一番、すべての準備ができています。いくらアプローチがしっかりしていても、結果が出ないと何も残らないと思う。それがスポーツの世界です。結果を残さないといけない。それを選手たちには求めたい」

――それにしても、予選プールで負けたアイルランドに決勝で雪辱するシナリオとは。

「予選プールは、決勝のネタフリになっているんです」

――日本のジェイミー・ジョセフHCの戦術についてですが、効果的なキックを使い、アンストラクチャー(崩れた局面)を創ることはどう思いますか。

「メチャメチャ難しいですよ。いまの日本のラグビーは。わかりやすくいえば、"リトル・ニュージーランド"ですよね。ラグビースタイルとしては、混沌とした状況をつくりながら、自分たちでその状況をコントロールしていくわけですよ。相手からしたら想定できない。2015年大会では、日本はあまりデータをとられていなかったけど、今回は研究されているでしょう。ストラクチャー(陣形が整った状態)のラグビーは、マイナスにもなります。アンストラクチャーがいわばストラクチャーとなっているのが、今の日本のラグビーだと思います。これは、選手個人の能力が問われる戦術で、全員が同じだけの引き出しと荷物を入れる量があって、引き出しから出すタイミングや順番を同じようにできるかどうか、でしょう」

――不安は。

「チームとして、ジェイミーは中核の人間を絶対変えませんでした。だから、ピースが外れるのは、大きなマイナスとなります。一番大事なことは、考えたメンバーで最後まで戦い抜くことですね」

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