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【卓球】張本智和が中国の「天敵」を撃破して頂点へ 「得意ではない戦い方」に見出した活路 (2ページ目)

  • 井本佳孝●取材・文 text by Imoto Yoshitaka

 地元開催に対する思いを口にした張本だが、準々決勝でもそのプレッシャーを力に変えた。世界ランキング9位の向鵬(中国)の強気の攻めにゲームカウント1-2とリードを許すも、「フォアもバックも調子がよかった」と、中盤以降は安定したラリーや台上での手堅いブロックが光り、4-2で逆転勝ち。男女通じて、日本勢では唯一のベスト4進出を決めた。

【優勝のために準備してきた"秘策"】

 準決勝のカナック・ジャー(アメリカ)戦も安定したラリーを軸に4-1で退けた張本が、決勝での対戦を熱望していたのが世界ランキング2位の王楚欽(中国)だ。5月の「世界選手権ドーハ大会」を制したNo.1サウスポーで、昨年の「WTTファイナルズ福岡」の決勝では0-4と完敗している。

 しかし、張本は当時、「王楚欽 撃破」を誓っていた。

「来年は王楚欽と、フランスの(フェリックス・)ルブランに1回は勝ちたいと思います。ほかの選手に対しては、絶対に勝てるわけではないですけど、それなりの試合はできる。でも、彼らに対しては0-4や1-4という試合ばかりなので、フルゲームまでいくような1年にしたいです」

 張本が王楚欽に対して準備してきたのは「得意ではない戦い方」と口にした"秘策"。持ち味であるチキータでのレシーブを序盤は封印し、フォアでのツッツキやストップを主体に相手の出方をうかがった。

 立ち上がりから勝負を仕掛けた戦術は功を奏した。王楚欽は何度もショットをミスし、首を傾げるシーンも。第1ゲームは9-9からの攻防を制し、終盤に迫られた第3ゲームもタイムアウトを使いながら11-8でモノにした。完璧といってもいい試合運びで、ゲームカウントは3-0に。中国ファンも多く詰めかけた横浜BUNTAIは、異様な空気に包まれた。

 王手をかけた張本だが、「そこからの2ゲームが、彼が一番強い時間帯。負けを覚悟して思いきって振ってくる」と試合後に語ったように、第4ゲーム以降の反撃も頭に入れながら試合を進めた。第4、5ゲームを奪い返され、迎えた第6ゲーム。膝をひねった影響でメディカルタイムアウト(MTO)を使いながらも11-4と圧倒し、優勝を決めた。

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