平野早矢香が語った卓球女子団体、金メダルへの展望。「今大会は中国のほうに嫌な感じがあるはず」 (4ページ目)

  • 佐藤主祥●取材・文 text by Sato Kazuyoshi

――代表選考レースや五輪の延期を経て、3大会連続の団体戦メダルをかけて戦う彼女たちにエールをお願いします。

「きっと、現在のコロナ禍において、『自分たちのプレーで、見ている方たちに何かを感じ取ってもらいたい』という気持ちは共通で持っていると思います。でも、私個人としては、この五輪の切符は自分たちで勝ち取った権利なので、自分たちが納得する試合をしてほしい。この舞台を存分に味わってもらって、楽しんでもらいたいです。結果はともかく自分たちが納得する形で終われたら、それが結果として、見ている人たちに勇気を与えることにつながると思っています。それぐらいのレベルに達している選手たちですから、『とにかく出し切る』ということに専念してほしいです」

――ありがとうございます。最後に、平野さんの今後の展望をお聞かせください。

「みんながすごく活躍してくれるので、私としてもコメンテーターや解説、そして普及活動と、卓球に関わるお仕事をたくさんやらせていただいています。その中で、『自分の経験を多くの方に伝えていくことが重要だな』と考えています。それはトップアスリートに対してもそうなんですが、スポーツから学んだことは日常生活にも通ずるところが多々あると思うんです。だからスポーツは、すべての人たちの人生にとって大切な存在であることを、いろんな形で伝えていきたいですね。

 特に卓球は、トップを目指して練習するのも面白いですが、"生涯スポーツ"の一面もあります。老若男女、台とラケットがあればずっと楽しめるのが魅力です。卓球をやったことがある人は多いと思いますが、そこからさらに面白さを伝えていって、長い間、この競技を好きでいてほしい。私も今までは教わる立場だったので、それを受け継ぎ、卓球というスポーツの楽しさを伝え続けていけたらと思います」

(前編:ロンドン五輪銀メダルの裏話。試合前日のある変更>>)

■平野早矢香(ひらの・さやか)
1985年3月24日生まれ。栃木県出身。全日本選手権のシングルスを2007年度から3連覇するなど、通算5度の優勝を達成。2008年北京五輪、2012年ロンドン五輪に出場し、ロンドン五輪の団体戦で日本卓球史上初の銀メダル獲得に貢献した。2016年4月に現役を引退後は、後輩の指導をはじめ、講習会や解説など卓球の普及活動にも取り組んでいる。

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