日本初のプロ選手・松下浩二が「福原愛の笑顔」に思うこと (3ページ目)

  • 水野光博●取材・文 text by Mizuno Mitsuhiro
  • photo by JMPA

 3位決定戦では、石川選手を破ったキム選手に1-4で敗れて銅メダルを逃した。試合前、キム選手の特徴を知る石川選手に対し、福原選手は「傷をえぐるみたいで聞けなかった」と言っていました。その代わりに2月の世界卓球で対戦経験のある伊藤美誠選手に特徴を聞いたとのことですが、その情報は半年前のもの。現在のキム選手の情報として不十分です。

 福原の優しさは、人としては間違っていないでしょうし、その人柄があったからこそ多くの人に愛されているのでしょう。ただしアスリートとしては、今回の判断は間違いだったと思います。絶対に、石川選手から直近の印象を聞いておくべきでした。

 女子団体は石川選手、福原選手、伊藤選手の3人が「絶対にメダルを獲るんだ」と気持ちをひとつにした、まさにチーム一丸となった戦いでした。

 日本は1回戦、2回戦をストレート勝ちで準決勝に駒を進めます。しかし、準決勝のドイツ戦でつまずきました。最初に登場した伊藤選手は、ペトリサ・ソルヤ選手を相手に2-2で迎えた第5ゲーム、9-3でリードするも、そこからまさかの逆転負け。これほどの逆転劇は、そう起きるものではありません。敗因は、「勝ちを意識してしまったこと」に尽きると思います。最後は福原選手が善戦しますが、一歩及ばずに日本はドイツに敗れました。

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