バスケ日本代表に初招集された富永啓生。海外と比べて「日本人はシュートが入らないときは遠慮する部分がある」 (2ページ目)

  • 大柴壮平●取材・文・撮影 text&photo by Oshiba Sohei

【チャンスがあればいつでも日本代表でプレーしたい】

―― ネブラスカ大学と日本代表で、求められている役割に違いはありますか?

富永 どちらもシュートを決めることが求められています。違いとしては、日本代表はシュート以外のところ、例えばプレーメイクもやらせてもらえるのでありがたいです。ネブラスカではシューターポジションに入ることが多いですが、元々高校のときはずっとプレーメイクをしていましたし、自分としてはボールを持ったほうが生きるプレーヤーだと思っています。代表でプレーメイクをやれたことで感覚も戻ったので、ネブラスカでもトランジションなどでチャンスがきたときには積極的にプレーメイクしていきたいです。

―― ワールドカップ予選とアジアカップを戦った感想を教えてください。

富永 ホーバスHCにアテンプト(シュート本数)の8割はスリーポイントでいいと言われています。逆に打たないと怒られますが、気楽に打つことができました。シュートに関してはより自信を深めることができたと思います。ディフェンスに関しては、ベースラインのケアやヘルプの出方などネブラスカと似ている部分が多いのでやりやすかったです。

―― アンダーの代表でチームメイトだった河村勇輝選手(横浜ビー・コルセアーズ)と久しぶりに同じコートに立ってみて、いかがでしたか?

富永 河村は相変わらず異次元でした(笑)。とんでもないスピードのトランジションと、どこから来るかわからないパス。それに、あの身長(172cm)で世界を相手にプレッシャーをかけることができるディフェンスもすごいと思います。

―― 富永選手もアジアカップのオーストラリア戦では33得点をあげる大活躍でした。

富永 僕は強い相手になればなるほど燃えるタイプなので、自分の個性を出せたかなと思います。オーストラリアのような世界のなかでもトップに入るチームと2試合できて、いい経験になりましたし、1回目(ワールドカップ)より2回目(アジアカップ)のほうが個人的にもチーム的にもいいパフォーマンスを出せたので、自信につながりましたね。

―― 世界でもトップに入るチームというお話が出ましたが、オーストラリアのどのような部分に世界レベルを感じましたか?

富永 オーストラリアはサイズとフィジカルがあるだけでなく、技術もあるので厄介でした。NCAAでプレーしていることもあってオフェンスの時は、そこまで相手の身長を気にすることはなかったのですが、ディフェンスの時はうんざりでした(笑)。ただ、僕もこの夏はしっかりウエイトに取り組んで、体重も目標だった80kg台に乗せることができました。体のコンディションはいいので、オーストラリア戦の経験も生かしつつNCAAで、よりレベルの高いプレーができればと思っています。

―― 最後に、日本代表への意気込みを聞かせてください。

富永 日本の皆さんの応援をすごく感じますし、普段はアメリカにいる僕のプレーをお見せするチャンスでもあるので、日本代表としてプレーするのは大好きです。チャンスがあればいつでもプレーしたいと思っています。ワールドカップで代表に選ばれるためにも、まずは今季ネブラスカ大を勝利に導けるよう頑張ります。

profile
富永啓生(とみなが けいせい)
2001年2月1日生まれ、愛知県出身。身長188cm、体重81kg。
両親もバスケットボール選手という環境で、自身も幼少期からバスケを始める。桜丘高等学校では、3年時にウインターカップに出場し、準決勝で敗れたものの大会得点王とベスト5に選ばれた。高校卒業後の2019年にアメリカへ渡り、コミュニティカレッジ(短大)を経て、2021年から現在のNCAA1部に所属するネブラスカ大学で活躍し、NBAを目指している。日本代表は、今年7月にデビューを果たした。

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