【NBA】なぜスパーズは「オルドリッジ獲得」の賭けに出たのか? (4ページ目)

  • 宮地陽子●文 text by Miyaji Yoko  photo by AFLO

 スパーズがオルドリッジを選んだのは、プレースタイルや性格に加え、彼とテキサスとの縁(ゆかり)が深いことがあった(スパーズの本拠地サンアントニオはテキサス州)。テキサス生まれのテキサス育ちで、大学もテキサス大。子どものころからダンカンは憧れの選手だった。さらにオルドリッジの6歳になる息子は、サンアントニオに住んでいる。たしかに、スパーズが狙いに行くには、これ以上ない選手だ。

 はたして、オルドリッジはスパーズ移籍を選んだ。スパーズへの入団会見で、オルドリッジはこう言っていた。

「この州(テキサス)に戻ってこられることは大きい。ここが自分にとっての故郷で、家族の近くにいることができ、テキサス大のファンも応援してくれる」

 さらに、都市の大きさやスポンサーの獲得しやすさよりも、個人としての幸せや、優勝に近い環境を優先するオルドリッジの性格も、スパーズに有利に働いた。

「僕はデビッド・ロビンソンになるつもりはない。ティム・ダンカンにもなるつもりはない。彼らは20年に一度の選手だ」

 会見でオルドリッジがそう言うと、横からビュフォードGMが茶々を入れた。

「でも、私たちはそれを期待しているけれどね」

 もちろん、スパーズのオルドリッジへの賭けが本当に成功したかどうかは、今後、コートの上で証明されなくてはいけない。それでも万が一、軌道修正が必要だということになれば、スパーズにはそれを受け入れ、進めるだけの計画性と実行力がある。よく言われる「スパーズ・ウェイ」が決してひとつではなく、時代に合わせて柔軟に変わっていくことを恐れないことも、「スパーズ・ウェイ」なのだとわかった夏だった。

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