【男子バスケ】岡田優介「将来あるリーグ統一へ。選手の声を聞いて欲しい」 (3ページ目)

  • 小永吉陽子●取材・文・写真 text&photo by Konagayoshi Yoko

――では、選手の総意が「リーグがひとつになりたい」となれば、組織を動かせると思いますか。

岡田 そこは難しい問題で「思い」だけでは簡単には動かない。両リーグのコンセプトが違う中で10年も別の道を歩んできたわけなので。NBLという同じリーグにいても状況が違うチームがあって、格差もある。すべてのチームが納得するレギュレーションを作るのは大変です。

よく周りからは「トップのお家騒動でしょ」と言われますけど、これは誰がやっても難しいと思う。自分だけの利益を考えずにバスケ界のことだけを考え、すべてをゼロにリセットすればうまくいくのだけど、各チームに社長、オーナー、債権者がいる中ですべてが納得する仕組みを作るのは難しい。今あるチームが突然リーグから「あなたは2部リーグに行きなさい」と言われたら、スポンサーもつかなくなって利益も上がらないですし。

そこで僕が思うのは、リーグ統一はビジネスの話なので、最初はどこかが損をしなければならないということです。損というか、初期投資ですね。結局、すべての人たちが納得する答えはないのだから、「将来に向けてこれだけ初期投資をすれば、将来は全員がこれだけ還元される」ことをちゃんと計画してプレゼンして、新しいリーグを作らなければならない。将来のことをしっかりと考えなくてはならないと思います。

そうしないとお互いのリーグが「どうせ、今までやってこなかったじゃないか」と信頼関係がない状態のままで、どんな話も進まないですよね。まずは信頼関係を改善するためにリセットするのがひとつ。ふたつ目は将来に向けて、5年後、10年後の大きな話を決めること。目標があって、そのための段階的な措置がないと、誰も納得しないと思います。

――岡田選手は企業もプロチームの事情も両方わかる。長年企業チームにいて、企業の良さを生かせるとすれば、どんなことだと思いますか。

岡田 企業を一気に排除してしまうと、プロとは名ばかりで貧乏なリーグになってしまいます。企業を排除して、みんなで貧乏になろうというのはよくない。今はチームが増えすぎていることがどっちのリーグも問題です。チームが増えれば平均賃金は一時的に下がってしまうので、無理に増やしてきたことでみんなが損をする仕組みになり、歪(ひずみ)になってしまった。だから、最初は企業チームなり、お金をうまく回しているチームが必要だと思う。そうしなければ、せっかくこれまでやってきたことが無駄になってしまいます。

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