【NBA】レブロンの心を激しく揺さぶった「故郷」への想い (3ページ目)

  • 宮地陽子●文 text by Miyaji Yoko photo by Getty Images

 それにしても今オフは、全米中がレブロンの影響力の強さを再確認した夏だった。レブロンの決断が発表されるまで、他のフリーエージェント契約は保留され、キャブスへの移籍が発表されるや否や、ドミノ倒しのように一気に他の契約も決まっていった。

 思えば、4年前にレブロンがヒートに移籍した後は、多くのチームが、「いかにヒートのような大物3選手(ビッグ3)を揃えたスーパーチームを作るか」を考え、それをスーパースターと契約する売り込み材料にしようとしていた。

 今後はレブロンのように、故郷への想いが強いスーパースターの琴線(きんせん)に訴えようとするチームが出てきそうだ。実際、すでにワシントン・ウィザーズはその方向に動き始めたとも言われている。ワシントンDCやメリーランドを故郷とするケビン・デュラント(現オクラホマシティ・サンダー)がフリーエージェントとなる2年後に照準を合わせて、ウィザーズはチーム作りを進めているというのだ。この夏には、デュラントの高校時代のコーチを育成コーチとして雇い入れてもいる。

 もっとも、レブロンの決断が示したものは、スーパースターは人のマネではなく、自分の価値判断で決めるということだ。つまり、決断を下したレブロン・ジェームズの価値観を後追いでマネするだけでは、結局、スーパースターの琴線に訴えることはできないだろう。


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