角田裕毅を負のスパイラルに陥らせたクラッシュから1年。苦い思い出のイモラは「いいサーキット」に消化済み (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • photo by BOOZY

角田は攻めの姿勢を貫けるか

 シーズン序盤戦でダウンフォース不足に直面したアルファタウリにとっては、ここで投入するフロアやフロントブレーキダクトのアップデートが効果を発揮するか否かが、大きな注目ポイントとなる。これがうまくいけば、開幕前テストから直面した空力性能不足を解決するべく進めてきた開発の方向性が正しかったと実証されるからだ。

 逆に言えば、失敗に終わればそれは今回のロスだけでなく、すでに進められている今後に向けた開発まで見直しを迫られることになってしまう。

 エミリア・ロマーニャGPは土曜日にスプリントレースが導入され、金曜日はたった1時間のフリー走行1回のみで予選に臨まなければならない。つまり、予選に向けたセットアップ作業を進めながら同時進行でアップデートを評価しなければならず、フェラーリのようにレース週末の運営を優先してアップデートを控えるチームもあるほどだ。

 しかし、中団グループのなかでもマシンパッケージで後れを取っているアルファタウリとしては、攻めの姿勢を採らざるを得ない。

「こういう(ウエット)コンディションなので、真の効果はわかりにくいかもしれません。予選である程度いい順位にいれば、アップデートがちゃんと機能したということになると思います。予選になってみないとわかりませんけど、今の状況だとちょっと雨が降りすぎですね。機能することを願っています」

 フリー走行は徐々に路面の水量が減り、ウエットタイヤからインターミディエイトタイヤへと変わっていくコンディション。

 しかし、2時間半後の予選は予想外の苦戦を強いられ、水量が減ってきたセッション終盤にうまくタイムを伸ばせず、16位でQ1敗退となってしまった。

「今回はアップデートを投入して、それによって中団上位争いに加われることを期待していたんですが、あまりいいパフォーマンスを発揮することはできませんでした。期待どおりのパフォーマンス向上とはいっていないのは確かです」

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