レッドブル・ホンダ、深刻な問題が露わ「誰も抜くことができなかった」 (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • photo by Boozy

「僕らのクルマはローダウンフォースパッケージにすると、リアがセンシティブになって他チームよりも苦しむことになるようだ。とにかく(通常パッケージで)本来あるはずのグリップがない。パワーで負けているからだというのは簡単だけど、それは言い訳にならない。やらなければならないことが山積みだ」

 ダウンフォースをつける方向にセットアップすると、ただでさえ出力で後れを取っているのに、空気抵抗も大きくなってストレートでの競争力はさらに後れを取る。

 予選では前走車のスリップストリームを使ってなんとかストレートの不利をカバーした。だが、そんなことをしなくても速いメルセデスAMGとの間には0.908秒もの差が開き、マクラーレンのカルロス・サインツにも0.1秒の差をつけられた。

 同じく高速のスパ・フランコルシャンではこの問題を解決できたと思っていただけに、モンツァでの苦戦には予想外の落胆を味わうことになった。

「ローダウンフォースパッケージではクルマのセッティングがいまいち決まらず、ショートランでの軽い燃料でソフトタイヤを履いた時のパフォーマンスも今ひとつでした」(ホンダ・田辺豊治テクニカルディレクター)

 このレースから「予選・決勝を同一モードで走る」というパワーユニット規則が導入されることとなった。だが、これでメルセデスAMGの"パーティモード"と呼ばれる予選スペシャルを封印できたものの、勢力図を劇的に変える要因とはならなかった。

 予選ほどマシンのピーキーさが問題にならない決勝では3位表彰台への挽回は可能だと、フェルスタッペンは自信を見せていた。しかしスタートで出遅れ、レース前半20周は集団の中に埋もれて7位のまま走行を続けることになる。

「スタートがよくなくて、クラッチをミートした瞬間からすごくホイールスピンしてしまった。なぜかわからないけど、エンジンがすごくオーバーヒートしていたからだと思う。その後はDRS(※)トレインにスタックして、誰も抜くことができなかった」

※DRS=Drag Reduction Systemの略。追い抜きをしやすくなるドラッグ削減システム/ダウンフォース抑制システム。

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