レッドブル・ホンダ、苦戦必至。高地メキシコで唯一希望は新型ターボだ (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 当然、ターボの回転数を上げていくわけですが、際限なく上げるわけにはいきませんから、(MGU-Hの回生やEブーストも含めて)いろんな要素のキャリブレーションの妥協点のベストを選んで使うわけで、ターボが果たしてくれる貢献も大きいわけです。パフォーマンスの落ちを小さくするという点で貢献してくれます」

 しかし、それが対他競争力という点でどれだけのアドバンテージをもたらすかについては、実際に走ってみなければわからない。ライバルメーカーの今季型パワーユニットがメキシコでどれだけパワー低下を余儀なくされるのか、それはまだわからないからだ。

 フェラーリは予選で驚異的なパワーを発揮し、ストレートで稼ぐ。約1.2kmの全開区間があるメキシコシティでは、これが大きな優位になる。

 その一方で、車体の不安もある。

 過去2年は2連勝を挙げているレッドブルとマックス・フェルスタッペンだが、それは空気が薄くダウンフォースが減るメキシコシティでは、レッドブルのメカニカル性能のよさがアドバンテージになったからだ。

 しかし、今年は低速コーナーの速さを見るかぎり、その点においてメルセデスAMGに劣っている。

 フェルスタッペンも、今年は従来よりも苦戦を強いられることを覚悟している。

「僕らのクルマはずっとメカニカルグリップが強力だったけど、今年はこれまでに比べて少し厳しくなるとは思う。フェラーリやメルセデスAMGと比べると、今年はマシン的なアドバンテージがそれほどないし、フェラーリはストレートで死ぬほど速い。

 だから、そのゲインをコーナーで取り戻すのはかなり厳しい。とくに予選ではね。決勝ではパワー差はあるとはいえ、そこまでの差はないから、決勝では少しチャンスがあるかもしれないけどね」

 そのためには、タイヤをうまく使うことが重要になる。とくに昨年は、タイヤにグレイニングというささくれ症状が発生したため、これをうまく使ったレッドブルが優位に立った。

 しかし今年は、タイヤマネジメントにも光るところがない。

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