2019.09.09

佐藤琢磨がインディ年間王者を
狙うには何が足りないのか?

  • 天野雅彦●文 text by Masahiko Jack Amano
  • 松本浩明●写真 photo by Hiroaki Matsumoto

 インディカー・シリーズ第16戦グランプリ・オブ・ポートランドは、オレゴンとワシントンの州境を流れるコロラド川南岸にあるフラットなロードコースで開催された。昨年、佐藤琢磨が20番手スタートから劇的な優勝を飾ったレースだ。

 今年の琢磨とレイホール・レターマン・ラニガン・レーシングは、ロードレースでのパフォーマンスが悪くないことから、今年のポートランドは走り出しから好調に……という思惑だったが、予選はまさかのQ1敗退となった。17番グリッドからのスタートとなった琢磨は、「ひとつでも上のポジションでフィニッシュする」という、少々漠然とした目標を胸に決勝レースのスタートに臨んだ。

 彼にはもうひとつ、「ランキングをもうひとつ上げる」という目標もあった。第15戦ゲイトウェイを終えてのランキングは6番手。残り2戦の戦い方次第で年間のトップ5に入ることができる。

 ポートランドの長いストレートの先にある90度コーナーは、アクシデントの名所だ。昨年のレースでもスタート直後にマルコ・アンドレッティが裏返しになる、4台以上が絡むアクシデントがあった。去年も今年も、ポートランドはポコノでの激しい多重アクシデントの2戦後だったが、ロードコースは、ドライバーたちの危険度の感じ具合がオーバルより断然低くなる。

 そのため、今年もマシン群はスタートでターン1へと殺到。イン側でグレアム・レイホール(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)とサック・ビーチ(アンドレッティ・オートスポート)が接触して玉突き事故。彼らとジェームズ・ヒンチクリフ、コナー・デイリー(どちらもアロウ・シュミット・ピーターソン・モータースポーツ)のマシンが、ほぼその場でリタイアする大きなダメージを負った。

シリーズ第15戦ポートランドで15位に終わった佐藤琢磨 琢磨も被害を免れることはできなかった。デイリーを避け切れずにヒットし、マシン右サイドのサスペンションとボディワークを破損。この修理に2周を要し、琢磨のポートランド2連勝、今シーズン3勝目の可能性は潰えた。クルーたちが必死の作業でマシンを修復、レースに復帰して完走を果たしたが、結果は15位で、加算できたシリーズポイントは15点だった。