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苦戦予想もレッドブル・ホンダは前向き。
不利より有利を活かせるか (3ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki
  • 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 事実、今年の各マシンは、空気抵抗を削るためにリアウイングを薄くするのではなく、しっかりとダウンフォースをつける方向に振ってきている。これはコーナーからの立ち上がりでトラクションを確保し、ストレートの前半でタイムを稼ぎたいからだ。

 レッドブルも従来に比べれば大きなウイングをつけているが、これはそれだけパワー差が小さいということと、もう一方ではダウンフォースをつけなければトラクションが確保できないということでもある。

 ただ、レッドブルの車体もよくなってきているとはいえ、まだ昨年までのような圧倒的な車体性能を誇る状態ではない。

「もし僕らが原因を100%完全に理解できていたら、すでに変更を施しているよ。ダウンフォースがもっとほしいのは、いつだってそうだし、誰だってそう。これで十分ということはないからね。メルセデスAMGを打ち負かしたいのなら、僕らはまだあらゆるエリアを改善させなければならない」

 フェルスタッペンもこう認めている。

 加えて、タイヤにきちんと熱が入れられるかどうか、という課題もある。

 高速コーナーが皆無のジル・ビルヌーブ・サーキットでは、タイヤにエネルギーが入る箇所が少ない。そのためタイヤに熱が入らず、グリップの確保ができなくなり、滑って表面にグレイニング(めくれ磨耗)が生じるという負のスパイラルに陥りやすい。そうなれば、モナコGPのハミルトンのようにマシン本来の速さを発揮できなくなる。

 フェラーリ陣営も、その点には不安を抱えている。セバスチャン・ベッテルはこう語る。

「僕らの強みが強調されるサーキットだから、計算上はバーレーンGPのように僕らは速いはずだ。だけど、ここは路面がかなりスムーズだから、タイヤに熱を入れて機能させるのが難しいだろう。とくに僕らは、ここ数戦でその点に苦労してきたしね」

 スペック2パワーユニットを投入してくるメルセデスAMGにしても、ストレートが速いフェラーリにしても、彼らがどれだけ戦闘力を発揮してくるかはわからない。それよりも、自分たちが持っているマシンパッケージの性能を最大限に引き出すことにのみ集中するしかない。そのうえで勝てるかどうか。レッドブル・ホンダが考えているのはそういうことだ。

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