MotoGPで「優勝日照り」が続いたヤマハ、ようやく連敗ストップ! (2ページ目)

  • 西村章●取材・文 text by Nishimura Akira
  • 竹内秀信●撮影 photo by Takeuchi Hidenobu

 その悪循環が変わってきたのは、アジア環太平洋を転戦する「フライアウェイ」の緒戦、第15戦・タイGPからだ。

 このレースウィークにバイクの前後バランスを大きく見直したことで、一気にフィーリングが向上し、3位表彰台を獲得。次戦の日本GPが行なわれるツインリンクもてぎは、典型的なストップ&ゴータイプのレイアウトで特性が大きく異なるため、セットアップを変更して臨み、結果は7位。ヤマハが抱える根本的な問題は何も解決していないことがあらためて浮き彫りになるようなレース結果となった。

 そこから間を置かず、2週連戦の今回を戦うフィリップ・アイランド・サーキットは、もてぎと対照的に、むしろ流れるようなリズムで走ることが必要なレイアウトだ。長い直線があるわけではなく、ハードブレーキングが要求されることもない。バイクの性能差もライダーの技倆である程度なんとかなってしまう、という言い方もできなくはないだろう。

 ビニャーレスはマシンバランスをタイの状態に戻し、初日から快調な走りを披露したが、この日の走行後には、この週末用にとくに何か新しいものが入っているわけではない、とも述べていた。前戦の日本GPではヤマハのテストチームから中須賀克行が参戦していたが、その際には「ファクトリーの彼らが、電子制御とエンジン由来の問題と指摘する部分は、自分も同じように感じることがある。とはいえ、セットアップで対応していける部分もまだ残っていると思う」と中須賀は話していた。

 今回の優勝は、彼のその言葉を裏づけるリザルトともいえるだろう。とはいえ、YZR-M1の抱える根本的な課題が解決しているわけではないのだろうから、ヤマハ陣営はこの勝利で安堵するわけにはいかない。

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