あのF1レジェンドの孫が日本のレース参戦。最速DNAは炸裂するか (2ページ目)

  • 吉田知弘●取材・文 text by Yoshita Tomohiro
  • 吉田成信●撮影 photo by Yoshida Shigenobu

 ピエトロが所属するチームはUOMO SUNOCO TEAM LEMANS。8号車は大嶋和也がドライブすることに決まっていたが、7号車のドライバーは未定の状態だった。

 当初、チーム・ルマンには「昨年FIA F2ランキング3位のオリバー・ローランドがレギュラー参戦するのではないか?」と噂されており、3月上旬の鈴鹿公式テストにも参加していた。ただ、ローランドはすでに参戦が決まっていたWECのテストのため、鈴鹿の2日目は欠席することになる。するとこの2日目、限られた時間で予想以上のパフォーマンスを発揮したのが、21歳のピエトロだった。

 コンディションの関係で記録の出にくい状況だったにもかかわらず、ピエトロは前日のローランドを上回るタイムをマーク。これが最終的な後押しとなり、開幕まで1ヵ月を切った3月下旬になって正式にレギュラー起用が決定した。

 ピエトロを選んだ経緯について、チームを指揮する片岡龍也監督はこのように語る。

「ピエトロがテストに来て、『すごいな』と思ったことがいくつかありました。まず乗る前の段階から、メカニックのひとりひとりとコミュニケーションを取ったり、限られたテスト時間を有効に使うためにシミュレーターで鈴鹿サーキットを勉強してきたり......。その姿勢がすごく真面目でしたね。

 彼がテストに参加することも、実はけっこう直前になってから決まったので、(事前に組んでいたテストメニューの関係上)ピエトロには新品タイヤが1セットしかありませんでした。しかも初めて乗るマシンで、初めてのサーキット。そんな環境のなかで、こちらが思う以上の成果を出してくれました。

 レースに臨んでいく姿勢もすばらしいし、何より血筋が文句ないですよね。目に見えないプラスアルファの力がDNAにしっかり受け継がれているのではないかと思います。ドライバーとして成長していく姿も楽しみですし、チームに有益な情報を与えてくれるのではないかと感じたので採用しました」

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