ターボをブン回してもパワー出ず。F1ホンダは高地メキシコで大苦戦 (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

 ダウンフォースが少ないためにマシンはスライドしがちで、タイヤを痛めやすい。空力効率のいいマシンは低い空気圧でもダウンフォースの減少が少なく、高いパフォーマンスを発揮しやすくなる。昨年レッドブルがここでフェラーリを上回り、メルセデスAMGに0.3秒差まで迫ったのはそのためだ。

 また、ダウンフォースだけでなく、空気抵抗も減る。そのため最高速も伸びて、昨年はウイリアムズが372.5km/hを記録している。これが余計にブレーキングを難しくする。

「マシンをブレーキングで止めるのにはかなり苦労する。モンツァを走っているような感覚なんだ」(セルジオ・ペレス/フォースインディア)

 さらに空気の密度が低いために、サイドポッドなどから取り込める空気の容量も少なくなり、したがって冷却も厳しくなる。

 メインストレートは1314mと極めて長いが、その見た目に反してサーキット全体での全開率は40~47%程度と低い。これは惰性で走る低速コーナーやパーシャルスロットル(※)の中高速コーナーが多く、距離は長くても時間的にはあっという間に走り抜けるストレートに比べ、こうしたコーナーで過ごす時間が圧倒的に長くなるからだ。そのため、1分20秒弱のラップタイムのなかで、スロットル全開の時間は半分にも満たないという結果になる。

※パーシャルスロットル=スロットルの開け方を加速も減速もしない状態に保つこと。

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