「ホンダは誰と戦っているのか」長谷川F1総責任者に序盤戦を聞く (3ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

「カナダの決勝は天候不順の可能性もあったので、ある意味ではギャンブルというか、そっちに賭けて重めのダウンフォースに(セッティングを)振ったんですね。今の我々の実力でいうと、そういうことでもしなければ上位は狙えないわけですから、あれはあれでよかったと思うんです。今回は結果的に、かなり軽めのウイングにしました。予選の性能を犠牲にしてでもトップスピードが出ないと、レースで話にならないですからね」

 予選はアタックのタイミングに恵まれなかったこともあって、長谷川総責任者いわく、「楽ではないものの、いけるのではないかと思っていた」Q3には進出できず、フェルナンド・アロンソ14位、ジェンソン・バトン19位という苦しい結果に終わった。

 しかしF1界には、「ポイントがもらえるのは日曜日」という慣用句がある。予選でいくら速さを見せようと、レースを上位で走り切らなければポイントを獲得することはできない。そのためにマクラーレン・ホンダ勢はダウンフォースを削り、最高速を伸ばしてきたのだ。

 だがその望みは、はかなくも砕け散った。

 スタートで大きく浮上したかに見えたアロンソは、1コーナーでオーバーシュートして12位。ダウンフォースを削ったせいで、2台ともにスーパーソフトタイヤの性能低下は予想以上に早く、それぞれ5周目と6周目にピットインして2ストップ作戦を選ばざるを得なくなってしまった。

3 / 6

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る