日本人初のモナコ制覇。GP2松下信治が語る「F1への想い」 (2ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki

 松下を育成するホンダからの依頼を受け、アドバイザーとしてモナコGPに帯同していた鈴木亜久里は、ヒヤヒヤしながらレースを見ていたという。

「『ファステストラップを出せ』っていうのは、聞いてるこっちが緊張しちゃうよね(笑) 。(コースから)ハミ出たらどうしよう?とかさ。『ファステストなんかいらねぇよ』って思ったけどね(笑)。しかし、たいしたもんだよ。実際、ドキドキするような場面もないくらいのあんな楽勝だからね」

 実を言えば、このモナコでの勝利は幸運によるところも大きかった。

 2レース制で行なわれるGP2。初日のフリー走行開始直後、冷えたタイヤでクラッシュを喫してしまった松下は手首を痛め、ほとんど走り込みができないまま予選を迎え、12番グリッドに沈んでしまった。抜けないモナコだけに、決勝レース1でも上位浮上は難しかったが、粘りの走りで9位でフィニッシュし、前走車にペナルティが科せられたことで8位に繰り上がる。2戦目は上位8台がリバースグリッドとなるため、決勝レース2のポールポジションを得たのだ。

「(前走車の)彼は僕の前で走っていて、ヌーベルシケインで8回くらいコースオフしてショートカットしてたんです。ポールからのスタートなら、もちろん勝ちますよ。スタートさえちゃんと決められれば、負けないと思います」

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