「ルノーより上」と豪語。ホンダはパドックでどう見られていたのか? (3ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki  桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

 そして、それは2014年の彼らが経験してきたことでもあった。最強の名をほしいままにしたメルセデスAMG製PUですら、初年度はディプロイメントが切れていたのだ。

 しかし、1年の経験を生かして開発すれば、2年目はそれを解消できることも彼らは知っている。つまり、来年はホンダが追いついてくるであろうこともわかっているのだ。

 レッドブルは、ルノー製PUがどれだけひどい出来であったかも知っている。ホンダ製PUとの差も知っている。だからこそ、一度はルノーとの決別を口にした。しかし、メルセデスAMGに断られ、フェラーリにも追い返され、ホンダへの供給依頼を打診してきたのは、「いよいよ来季のPUが決まらない」という窮地に陥った、10月下旬になってからだった。

 つまり、レッドブルにとっても、ホンダは“最後の手段”でしかなかった。それも本命などではなく、他メーカーとの交渉をなんとか進めるための交渉材料に過ぎなかった可能性も多分にある。

 ホンダはパドックでどう見られていたのか?

 PUの性能という点で言えば、これまでに述べてきたように、他メーカーもチームもそのレベルは把握している。マクラーレンの巧みなメディア操作によって、「チーム創設以来最悪とも言える低迷は、ホンダのPU性能・信頼性不足が招いた結果だ」という世論が形成されているが、少なくともチーム関係者はそうは見ていない。毎戦のように新たな空力パーツを持ち込み、PUのほうには大きな変化がないのに、急にマシンが生き生きと走るようになった最終戦アブダビGPが事実を物語っている。

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