【F1】モナコGPを制したチーム、メルセデスに重大な疑惑発生 (5ページ目)

  • 米家峰起●取材・文 text by Yoneya Mineoki 桜井淳雄●撮影 photo by Sakurai Atsuo(BOOZY.CO)

■レッドブルとフェラーリが抗議。審議結果はどうなる?

ただし、「実際にテストが行なわれる旨の通達は受けておらず、全チームがこのテストに参加できる機会を与えられたか否かの確認もとれてはいない」と、FIAが完全にこのテストに合意していたわけではないことを示唆している。

 つまり、ピレリとメルセデスAMGはFIAとのやりとりの中で許可を得たものと考え、最新型マシンを使った疑惑のテストを敢行してしまったというわけだ。それが純粋な齟齬(そご)によるものだったのか、そこに意図的な曲解があったのか、それは当人たちにしか分からない。そして、メルセデスAMGが実際にアドバンテージを得たのかどうかも。

 レッドブルとフェラーリは、モナコGPの決勝前、スチュワード(競技会審査委員会)に抗議を提出していた。これを受けてスチュワードはモナコGPのレース後にピレリも含めた各関係者に対して聴聞を行ない、審議をした。

 決勝レース終了から3時間が経過した午後7時過ぎ、スチュワードはこの件についての判断を回避することを決定し、ロズベルグとメルセデスAMGの優勝は確定した。しかし、スチュワードはFIAに判断を委ねており、FIAは国際控訴裁判所での審議を示唆している。

 過去にこうしたケースで審議が行なわれた場合、有罪と判断されれば出場停止やポイント剥奪などの厳重なペナルティが科せられた。

「もしレギュレーション違反が存在するなら、そこにはペナルティが科せられてしかるべきだろう。今週末の結果云々よりも、もっと重大なものになるのかどうか、それは我々には分からない。とにかく前例のないことだからね」(ステファノ・ドメニカリ代表/フェラーリ)

 ピレリは2014年以降に向けたタイヤ供給契約の交渉が大詰めを迎えており、メルセデスという自動車メーカーは、FIAとしてもF1から失いたくない存在である。こうした複雑な状況の中で、今後事態がどのような展開を見せるのか、予断を許さない。

 しかし、コース外で勝敗が決するようなレースなど誰も見たくない。そのことだけは忘れないでもらいたいものだ。

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