NHKマイルCの血統的注目馬はキングカメハメハ系 2年前に150万馬券の大波乱を起こしたドレフォンの血も見逃せない (2ページ目)

  • 平出貴昭●文 text by Hiraide Takaaki

 ディスペランツァは、兄ファントムシーフがGⅢ共同通信杯(東京・芝1800m)の勝ち馬で皐月賞3着、祖母プロミシングリードも愛GⅠ馬という良血馬。母の父が、大種牡馬サドラーズウェルズの孫メダグリアドーロという配合だ。

 また、キングカメハメハ系で母の父サドラーズウェルズ系という配合は、2年前の勝ち馬ダノンスコーピオン(父ロードカナロア、母の父スライゴベイ)を筆頭に、タイトルホルダー、パンサラッサなど、近年に多くの活躍馬が出ている成功パターン。牝系の優秀さもあり、血統レベルは相当高い。

 ディスペランツァは昨年8月にデビューし、2戦目(阪神・芝2000m)で初勝利。その後はGⅢ京都2歳S(京都・芝2000m)6着、GⅠホープフルS(中山・芝2000m)9着と2000mの重賞で凡走が続いたが、距離短縮した5戦目の3歳1勝クラス(阪神・芝1600m)では4コーナー最後方から豪快な差し切り。前走のGⅢアーリントンC(阪神・芝1600m)でも8番手追走から上がり3F32秒4という驚異的な瞬発力を見せて差し切った。2戦2勝となったマイル戦でのGⅠ初勝利に期待したい。

 もう1頭はウォーターリヒト(牡3歳、栗東・河内洋厩舎)を推す。同馬は前走の皐月賞で16着と大敗しているが、GⅢシンザン記念(京都・芝1600m)では3着、GⅢきさらぎ賞(京都・芝1800m)でも2着と、距離短縮で巻き返せる可能性を感じさせる。シンザン記念では、道中ほぼ最後方追走から鋭い脚を見せたように、末脚の破壊力はかなりのものがある。

 同馬の父はドレフォンだが、2022年のNHKマイルCでは、ドレフォンの産駒のカワキタレブリーが単勝229.1倍の18番人気ながら3着に入り、3連単150万馬券の波乱を演出している。同馬もGⅡデイリー杯2歳S(阪神・芝1600m)3着と、マイル重賞で実績があった点に加え、血統的にも母系のサクラユタカオーやリファールが共通している。さらに、鞍上はカワキタレブリーに騎乗していた菅原明良騎手の予定で、そちらもプラス材料だ。

 以上、今年のNHKマイルCは、ルーラーシップ産駒ディスペランツァ、ドレフォン産駒ウォーターリヒトの2頭に注目する。

プロフィール

  • 平出 貴昭

    平出 貴昭 (ひらいで・たかあき)

    主に血統分野を得意とする競馬ライター、編集者。(株)サラブレッド血統センター在籍。著書に『覚えておきたい日本の牝系100』『一から始める! サラブレッド血統入門』など。「週刊競馬ブック」で『血統見聞録』を連載するほか、「競馬四季報」などの編集業務にも携わる。そのほか、『優駿』などにも寄稿。twitterアカウント:@tpchiraide

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